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不完全韻はどれくらい完全か?韻律の知覚に及ぼす音韻類似性と詩の文脈の影響 (Knoop et al., Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts, 2019)

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みなさんこんにちは。

教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます!

昨日の論文はこちら▽

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さっそくいきます!

 

不完全韻はどれくらい完全か?韻律の知覚に及ぼす音韻類似性と詩の文脈の影響 (Knoop et al., Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts, 2019)

結論から言うと、スピード韻律判定課題を用いて、完全な韻・不完全な韻・非韻を比較した研究で、不完全な韻は完全な韻よりも受容性が低く、完全な韻と非韻の両方よりも不確実性が高いことが明らかになり、さらに韻の認識には、音韻の類似性の程度が重要な役割を果たしていることが示唆された。

 

背景

・不完全韻とは、一般的に、末尾韻の位置にある単語のペアの、子音が同じままの時に、最後に強調された音節の母音セグメントが異なるか、またはその逆のことを指す

→完全韻と不完全な韻が、そのパターン化された韻律体系への配置に関して等価なものとして扱われている例を数多く知っている

→しかし、その性質や効果についての理論的・実証的な調査はほとんど行われていない

 

目的

不完全韻と完全韻との関係について理解を深めるために、

(a) 不完全韻の受容性(直感的な韻の判断に反映される)

(b) 不完全韻の受容性を判断する際の受容者の不確実性(遅延応答の割合に反映される)を調節するいくつかの変数

を検討する

 

方法

デザイン:韻の種類(完全韻/非韻/不完全韻)と文脈(couplets/word pairs)を横断する3 ×2デザイン

刺激:180メートルのドイツ語の連文(60組は、節の最後の位置で完全な韻を踏んでおり、60組は韻を踏んでおらず、60組は節の最後の位置で不完全な韻を踏んでいる)

参加者:ドイツ語を母国語とする成人54名

→分析は49名(M=28.3歳、SD=8.5歳)

 

結果

1.不完全な韻は完全韻よりも韻としての受容度が低く、非韻よりは高い。また、ワードペアよりもcoupletsで現れるときの方が受容度が高い。

2.ワードペアよりもcoupletsの方がタイムアウトが起こりやすく (z =  7.77, p .001)、それは不完全韻が完全韻と非韻よりも多かった。

3.3つのサブタイプで差があった (X2(1) = 19.26, p = .001)

→母音の長さの違いを特徴とする韻のペアよりも、母音の丸みの違いを特徴とする韻のペアの方が、より多くの場合、韻として受け入れられる

→音韻の類似性が高いために韻の受容性が高まっている証拠と解釈

 

コメント

ワードペアとcouplet (連句) の違いが最初分からずに、悶々としていたが、読んでいるうちになんとなく理解できた。詩の文脈上にあるかどうかということを言いたかったはず。

実は、受容性の変数は、詩の研究では初めて見たかもしれない。韻を踏んでいるかどうかの判断をタイムアウトで判別するのが、ありそうでなかったような気がする。(従来の心理学の手法のリアクションタイムに基づくという点ではよくあることだけど)

論文

Knoop, C. A., Blohm, S., Kraxenberger, M., & Menninghaus, W. (2019). How Perfect Are Imperfect Rhymes? Effects of Phonological Similarity and Verse Context on Rhyme Perception. Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts. Advance online publication.

http://dx.doi.org/10.1037/aca0000277