俳句における時間についての日本と西洋の視点(MuMurray, 2020)
みなさんこんにちは。
じんぺーです、今日も論文を読んでいきます。
俳句における時間についての日本と西洋の視点(MuMurray, 2020)
ポイント
■時間の経験が文化的に左右される
・時間が前後左右に動くというアメリカの概念
・日本の「生きがい」は、日常生活の中で目的や喜びを見出すことに関連
・俳句は、日常生活の一瞬に焦点
・Gannon, Locke, Gupta, Audia, and Kristof-Brown (2005)は、生活のペース、単調さと多調さ、過去・現在・未来の方向性、時計時間とイベント時間の使用、文化的なメタファーなど、文化によって異なる時間の方向性を定義し、検討
・31カ国の生活ペースを調べたLevine and Norenzayan (1999)は、日本と西ヨーロッパ諸国の生活ペースが最も速いことを明らかにした
■M-timeの概念
・モノクロニックタイム(M-time)という概念は、時間を直線的で分離可能な単位に分けて考える文化を示す
・M-timeは一度に一つのことを行うことを重視する文化
・モノクロニックな人は1つのイベントが終わるまで待ってから次のイベントを始める
・西洋文化ではスケジュール、時間厳守、正確さが重視され、お金としての時間に対する単調な感覚は、対人関係に影を落とす可能性
・M-timeの文化は、アメリカ、ドイツ、北欧など
■P-timeの概念
・P-time(Polychronic time)文化は、時間を自然に繰り返されるものとして捉え、一度に多くのことを行うことを重視
・P-time文化では、自然に発生する時間の流れを重視
・集団主義的な文化はポリクロニックな傾向
・M-Timeは強い未来志向と相関し、P-Timeの概念は現在と過去の志向を意味する
・日本のような集団主義的な文化は、より現在を重視し、時事問題や "今、ここ "に焦点を当てる傾向
■イキガイと自己実現の概念
・長谷川(2003)は、日本人は日常生活の小さな喜びの総和が、人生全体をより充実したものにすると考えていると主張
・「生きがい」とは、「目的を持って生きる喜びを見つける」という意味
・農村部では、家族構成が「生きがい」と強く関連していた。都市部では、男性のホスピタリティ経験が「生きがい」と強く関連
■方法
・1,700人の参加者を対象に、俳句を研究手段として用いた
・参加者は、自由なテーマで俳句を詠んだ
・時間に関連する英語の俳句を分析
・俳句はシンプルでありながら、「生活のペース」「単調な時間」「多調な時間」「過去・現在・未来の時間」「生きがい」といった概念をユニークに表現
・西洋人にとっても日本人にとっても、俳句は写真や絵画のようなもの
・詩人はイメージを使って言葉で絵を描く
・俳句は、1つのシーン、1つのキーイメージ、1つの中心的なメタファーに焦点を当てるのに適している
・2020年2月1日から7月31日までの間に、47カ国の個人から朝日新聞の「朝日俳人ネットワーク」欄にハガキや電子メールで自由に投稿された1,700の俳句を対象
■観察
・時間に関する文化的な比喩やことわざを調べることは、文化間の異なる時間的問題を理解するための効果的な方法
・人生のペースに対する考え方
・ドイツ人は日本人に比べて、仕事が終わった後にゆっくりしたり、仕事ができない状況に適応したりするのがうまいと言われている(Levine & Norenzyan, 1999)
・データの中には、自然はコントロールできないという日本人の感覚を詠んだ俳句の例がたくさんあった
コメント
欲しい情報はなかったけど、こういう研究のスタイルもおもしろいなあと思います。
論文
McMurray, D. (2020). Japanese and Western Perspectives on Time in Haiku. The lUK Journal of Intercultural Studies, 21(2), 103-116.