Curve Appeal: 湾曲した物体と角ばった物体の嗜好の個人差を探る（Cotter et al., i-Perception, 2017）
みなさんこんにちは！
じんぺーです、今日も論文を読んでいきます。
Curve Appeal: 湾曲した物体と角ばった物体の嗜好の個人差を探る（Cotter et al., i-Perception, 2017）
結論から言うと、不規則な多角形では、芸術的な専門知識や経験への寛容さが高い人ほど、曲面を好む傾向が強かった。
背景
■曲面嗜好性の頑健性
・曲線や物体がより美しいという考え方は、美学に関する書物（Hogarth, 1753など）や経験的な研究において長い歴史
・線（Bertamini, Palumbo, Gheorges, & Galatsidas, 2016; Salgado-Montejo, Tapia Leon, Elliot, Salgado, & Spence, 2015）
・抽象的な新規図形（Bar & Neta, 2006; Bertamini et al, 2016）
・一般的な物体（Bar & Neta, 2006; Westerman et al., 2012）
・車の内装（Leder & Carbon, 2005）
・建築物の室内環境（Dazkir & Read, 2012; van Oel & van den Berkhof, 2013; Vartanian et al.）
・乳児（Jadva, Hines, & Golombok, 2010; Quinn, Brown, & Streppa, 1997）
・大型類人猿（Munar, Gómez-Puerto, Call, & Nadal, 2015）
・角ばった鋭利なもの（Bar & Neta, 2006, 2007）の脅威的な性質が回避の動機となるのではなく、曲線状のものの魅力的な性質が接近の動機となることに由来する（Bertamini et al., 2016; Palumbo, Ruta, & Bertamini, 2015）
■調整要因
・曲がった爆弾やとがったテディベアなどのように、対象物に関する意味的な知識が関連している場合（Leder, Tinio, & Bar, 2011）、角度のような低レベルの特徴の効果を洗い流すことができる
・どのような感情的反応が測定されているのかを調べる価値のある要因の一つ
・喜びと興味は異なる反応であり、喜びを感じるものの中には興味を感じないものも多い（Graf & Landwehr, 2015）
■人の要因
・覚芸術のトレーニングを受けた人は、初心者と比べて、芸術の見方、考え方、評価が異なると言われている（Parsons, 1987; Smith & Smith, 2006）
・Silvia and Barona (2009) は、2つの研究で、専門知識の不可解な効果を発見：ある研究では、初心者はより強い曲率の好みを示し、別の研究では、専門家はより強い曲率の好みを示した
・より一般的には、経験への開放性が高い人は、想像力が豊かで、創造的で、型にはまらず、微妙な感情に敏感であると言われている
方法
■参加者：学部生132名
■手続き
・最初に不規則な多角形を見て評価し，続いて円と六角形の配列を見た
・個人差の測定はすべてその後に行った
・それぞれの画像は好きなだけ見ることができるが，最低でも2秒間は画面に表示
・視聴者はマウスやスペースバーをクリックして評価に進み、視聴時間はソフトウェアに記録
■材料
・刺激セットは、Bertaminiら（2016）とPalumbo and Bertamini（2016）によって作成されたランダムに生成された多角形のサブセット
・これらの多角形は，ある程度の複雑さを持つように設計されていますが，身近な物体に似ているわけではなく，単純な幾何学的な部分で構成されているわけでもない
・刺激は，円に沿って場所を選び，半径の長さを（最小値と最大値の間で）変化させて作成した．この過程で，10個，18個，26個の頂点を持つ多角形を作成
・バランス選好テスト（Wilson & Chatterjee, 2005）：過去の研究（Silvia & Barona, 2009）の再現を試み、曲率の選好が異なる種類の画像間で一貫しているかどうかを評価するために導入
・円を含む9枚と六角形を含む9枚の計18枚
・3段階の不均衡（低，中，高）ごとに3枚の画像が用意
・各画像の後、被験者は快感（この画像はどのくらい楽しいか？ 1＝まったく楽しくない、7＝とても楽しい）と興味（この画像はどのくらい面白いか？1＝全く面白くない、7＝非常に面白い）の評価を行った
■個人特性尺度
・美的流暢性尺度：芸術的専門性を評価する(Smith & Smith, 2006)：美術史に登場する10人の人物や考え方（印象派やフォービズムなど）が提示され、参加者は、それぞれの人物や考え方にどれだけ精通しているか
・HEXACO 100 パーソナリティインベントリ改訂版：人格の 6 つの領域（正直-謙虚、情動性（神経質）、自己顕示欲、快活、良心性、経験の開放性）を測定
・NEO-FFI
・Big Five Aspects Scale
・認知の必要性：人々が考えることにどれだけ関与し、楽しんでいるかを評価する
・直感の種類尺度：人々の意思決定や問題解決の方法を調べる
結果
■個人内因子（例：曲線的な画像と角張った画像）と個人間因子（例：芸術の専門知識と経験への寛容さ）の両方をデザイン
・クラス内相関(ICC)は、快感(ICC=0.40:多角形、0.47:円または六角形)と興味(ICC=0.39:多角形、0.42:円または六角形)の評価の分散の約40%がレベル2であることを示した
・不規則な多角形の場合，参加者は角張ったものよりも曲がったものが好きだと答えた（b = .27, SE = .10, p = .005）
・より多くの辺を持つ多角形が好まれた（b = 0.11, SE = 0.05, p = 0.036）
・気持ちよさの評価は，角張った六角形よりも曲がった円の配列の方が高かった（b = 0.19, SE = 0.10, p = 0.070）
・不規則な多角形に対する曲面の好みと，円と六角形の配列に対する好みとの間には，有意な相関関係があり（r = .32 [.15, .50], p < .001），効果の大きさも中程度であった
■個人特性
・美的流暢性尺度のスコアが高い人は、角張った多角形よりも曲線を好む傾向が強かった（b = .21, SE = .09, p = .021）
・NEO の経験への開放性尺度（b = 0.25, SE = 0.08, p = 0.002）と HEXACO の型破り性ファセット（b = 0.41, SE = 0.10, p < 0.001）のスコアが高い人ほど、曲面を好む傾向が有意に強くなった
・Types of Intuition ScaleのHolistic Abstractサブスケールは、曲面の好みを有意に調整：抽象的に考えることが好きな人は、曲がった多角形をより好むことがわかった（b = 0.21, SE = 0.08, p = 0.008）
・BFASの知性（b = -.15, SE = 0.08, p = 0.040）と認知の必要性（b = -.17, SE = 0.09, p = 0.068）のスコアが上昇すると、人は丸い円よりも角ばった六角形を相対的に好む傾向が見られた
■興味
・不規則な多角形の刺激セットでは、角度は興味に影響しなかった（b = -.07, SE = .10, p = .463）
・しかし、辺の数と範囲は興味に影響を与えた：辺の数が多く（b = 0.56, SE = 0.06, p < 0.001）、範囲が広い（b = 0.33, SE = 0.09, p < 0.001）形状は、複雑さと興味に関する多くの研究と同様に、興味評価の増加と関連
■視聴時間
・不規則な多角形では，曲率の主効果が有意であった（b = -.30, SE = .10, p = .002）．角張った多角形の方が丸みを帯びた多角形よりも見る時間が長いという結果
・辺の数の主効果（b = 0.13, SE = 0.07, p = 0.048）
・唯一の有意な効果は、アンバランスの主効果（b = -.14, SE = 0.05, p = 0.009）であった：バランスのとれた配列の方が、より多くの時間をかけて見ることができた
コメント
個人差を扱う研究ってやっぱり好きだなあとなった。シンプルだし、使用図形もけっこうかわいいので、これは使ってみたい。
論文
Cotter, K. N., Silvia, P. J., Bertamini, M., Palumbo, L., & Vartanian, O. (2017). Curve Appeal: Exploring Individual Differences in Preference for Curved Versus Angular Objects. I-Perception. https://doi.org/10.1177/2041669517693023
