流暢,だからそれが好き:客観的な流暢さではなく、主観的な流暢さの感覚が好感度を決定する (Forster et al., Emotion, 2013)
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流暢,だからそれが好き:客観的な流暢さではなく、主観的な流暢さの感覚が好感度を決定する (Forster et al., Emotion, 2013)
結論から言うと、客観的に流暢な(処理がしやすい)画像の方が実際に流暢であると判断され、好感度も高く、流暢さを感じたかどうかの方がより好感度に影響を与えることを明らかにした研究。
背景
・刺激を知覚する際には、「好き」という感情を修飾する要因の一つは流暢さであると考えられてきた。
→対象物が簡単に知覚されると、この簡単さや流暢さが、対象物への好感を高める。
・プライミング、対称性、または提示時間を通じた客観的な知覚的な処理の流暢さの増加だけでなく、主観も検討していく必要あり。
実験1
目的:サブリミナルプライミングを用いて、流暢性を操作し、好感度とともに感じられた流暢性(Felt Fluency; FF)を測定することでそれらの関係を検討する。
参加者:ウィーン大学の心理学の学部生50名(M=22.5、SD=3.5、女性43名)
刺激:日常の様々な物体を描いた150枚の画像
→処理のしやすさを2段階に分ける
手続き:各画像は2回評価(1回はFF、1回は好みの評価)
→これらの測定は2つの異なるブロックで独立して行われた
→各ブロックでは、画像の半分が一致しており、残りの半分は不一致でプライミング(FFと好みの直接比較を可能にするために、1つのブロックで一致ターゲットとして使用された画像は、2つ目のブロックでも一致ターゲットとして使用)
結果
1.一致試行は不一致試行よりも流暢であると認識された
2.処理のしやすい試行(M = 4.03、SD = 0.56)は、処理のしにくい試行(M = 3.93、SD = 0.45、t(35) = 1.66、p = .052(片側検定)、d = 0.28)に比べて好感度が高い
3.高FF試行の好感度 (M = 4.48、SD = 0.58) は低FF試行の好感度 (M = 3.35、SD = 0.42、t(35) = 12.93、p = .001(片側検定)、d = 2.15) よりも高い
→FFの好感度への影響(d = 2.15)は、客観的に操作された処理のしやすさの影響(d = 0.28)よりもはるかに強く、FFが好感度判定の主要な要因であると考えられる
実験2
目的:刺激の呈示時間を変化させることで、処理の流暢性を操作し、FFと好感度の関係を検討。
参加者:参加者 ウィーン大学の心理学の学部生96名(M = 22.1、SD = 3.1、女性83名)
手続き:実験1とほぼ同じ。処理のしやすさの操作が時間によって行われた。
結果
1.100msから400msの間でFF評価の一定の増加
2.平均好感度も同様のパターンを示しており、100msから400msまで増加
コメント
流暢性は美的評価研究の重要な概念であり、この研究によって、客観的な流暢さよりも流暢と感じているかどうかの方が大事というふうにシフトしていった。流暢性だけでなく、オブジェクトが持っている特徴と実際に見る人がどう感じるかは、この分野の研究ではめちゃくちゃ大事と思うので、注視していきたい。
あまり丁寧に読めなかった気がするので、必要となったときにまた読みたい。明日はこれの続きともいえる論文を考えているので、そこでまた勉強できたらと思う。
論文
Forster, M., Leder, H., & Ansorge, U. (2013). It felt fluent, and I liked it: Subjective feeling of fluency rather than objective fluency determines liking. Emotion, 13(2), 280–289. https://doi.org/10.1037/a0030115