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自己解釈:脳機能のための文化的枠組み(Han & Humphreys, Current Opinion in Psychology, 2016)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えておりますじんぺーです。今日も論文を読んでいきます!

 

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自己解釈:脳機能のための文化的枠組み(Han & Humphreys, Current Opinion in Psychology, 2016)

■自己解釈(Self construal)

・個人が自己をどのように認識し、理解し、解釈するかは、人間の行動に影響を与える最も重要な文化的特徴の一つであり、行動や認知・感情の文化的差異を説明するために利用されてきた

・相互依存的自己概念と独立的自己概念の一時的なプライミングは、認知と行動の因果関係の変化をもたらす

■脳機能

・自己と自己/他者の関係をどのように捉えるか(すなわち、自己概念)が、自己参照的処理やその他の認知/感情プロセスに関与する脳活動を変調させる

・視覚認知を強調する課題、注意力、因果関係帰属、精神計算、自己反省、精神状態推論において、東アジア社会と欧米社会の参加者の間で脳活動のパターンが異なる

▶観察された群間の脳活動の違いをどの文化的志向が媒介しているかを明らかにすることはできなかった

■Self construal尺度を用いて

・公人と比較した自己の判断は、判断の属性次元にかかわらず、中国人と比較してデンマーク人の方がmPFCの活性化が大きい

・社会的属性の自己判断では、中国人ではデンマーク人に比べてTPJ活性が高くなる▶媒介分析により、中国人とデンマーク人のTPJ活動の差は、自己概念の相互依存性によって完全に媒介

・相互依存性の測定値はTPJ活動と正の相関を示したが、mPFC活動とは負の相関

■個人は複数の文化体系に同一性を持ち、特定の社会的文脈や相互作用に応じて異なる文化体系の間で切り替えることができるかもしれないと提案

・相互依存的/非依存的な自己概念のプライミング

・相互依存的な自己構造をプライミングする典型的な方法は、複数の代名詞(「we」や「our」)を含むエッセイを読んでもらったり、自己が他の人とどのように違うかを考えてもらったりする

・中国の参加者において、独立した自己概念をプライミングすると、相互依存的な自己概念と比較して、自分の顔に反応して右前頭の活動が大きくなることが報告

・東アジア系アメリカ人に相互依存的な価値観でプライミングを行うと、中心的な顔の表情を判断する際に、周囲の顔と比較して中心的な顔の感情的な表情の不一致に対するN400反応が拡大(Switching between Mii and Wii: the effects of cultural priming on the social affective N400)

▶相互依存的な自己構成が感情的な文脈への注意を促している

▶相互依存的な自己構造プライミングは社会的文脈に注意を向けるための精神的準備状態を促進するのに対し、独立した自己構造プライミングは自己に集中するための精神的準備状態を促進する可能性がある

■遺伝子

・神経伝達物質/ホルモンであるオキシトシンが脳の反応に及ぼす影響は、相互依存性の傾向が強い人ほど大きい

・自己概念の文化的差異は、特定の遺伝子(例えば、DRD4)を持つ個人に限定されている可能性

 

論文

Han, S., & Humphreys, G. (2016). Self-construal: A cultural framework for brain function. Current Opinion in Psychology, 8, 10–14.