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怒り,嫌悪感,ネガティブな美的感情:美的経験の評価モデルの展開 (Silvia & Brown, Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts, 2007)

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みなさんこんにちは。

教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます!

昨日の論文はこちら▽

 

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怒り,嫌悪感,ネガティブな美的感情:美的経験の評価モデルの展開 (Silvia & Brown, Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts, 2007)

結論から言うと、不快で物議を醸している作品を含む一連の絵を鑑賞させ、怒りは自分の価値観と合わない、意図的に攻撃的な絵を評価することと関連し、嫌悪感は自分の価値観と合わない、不快な絵を評価することと関連していた。

 

背景

■芸術に対する無知が多い現代では、挑発的で挑戦的な作品に対しては、怒りや嫌悪感、軽蔑などの否定的な感情が一般的な反応となっている

・では、芸術に対する否定的な反応について、美的感情の心理学的理論は何を語っているのか

■美的感情の研究は芸術の心理学の中心であるが(Cupchik, 2006)芸術に対する否定的な反応についての研究は基本的に行われていない

■いろいろな理論、モデルで説明できないか?

・Berlyneの精神生物学的モデル(Berlyne, 1971; 1974)

・Martindaleのプロトタイピングモデル(Martindale & Moore, 1988)

・処理の流暢性(Reber, Schwartz, Winkielman, 2004)

→2つの問題点

1.否定的な感情と、中立的な感情と否定的な感情を識別することができない

2.理論のどれも否定的な感情を識別することができない

■評価理論 Apprasal Theory

・評価構造に基づいて感情を区別することで、後に怒りと嫌悪の感情で見るように、似たような感情間の微妙な違いを特定することができる

 

目的

■認知的評価が視覚芸術に対する反応として怒りと嫌悪を予測するかどうかを検討

・芸術心理学ではあまり注目されていないネガティブな感情を調べる

・これまでは興味や楽しみといったポジティブな感情のみを取り上げてきた美的感情の評価モデルのギャップを埋めようとした(Silvia, 2005a, 2005c, 2006a; Turner & Silvia, 2006)

・過去のモデルが効果的ではない文脈でも、評価モデルがどのようにして予測を成功させることができるかを説明する

 

方法

参加者:一般心理学に在籍する女性46名、男性12名の計58名

刺激:8つの絵画と写真の白黒複製画:いくつかの作品は不快なもの(例:アンドレス・セラーノの「小便のキリスト」)であり、他の作品はありきたりなもの(例:クロード・ロレーヌの風景画)

手続き:各作品について、嫌悪感、怒り、目標の不一致、気持ちよさ、意図性の観点から7件法で評価

 

結果

怒り:人々が絵を自分の価値観とより矛盾していると評価するほど (b= .333、SE=.078、t(57)=4.23、p=.001)、意図的に攻撃的であると評価するほどと増加した (b=.190、SE=.067、t(57)=2.83、p=.007) 

嫌悪感:人々が写真を自分たちの価値観とより矛盾していると評価するほど増加し (b=.501、SE=.062、t(57)=8.02、p=.001)、より不快であると評価するほど増加した (b=.339、SE=.038、t(57)=8.85、p=.001)

→全体的な係数は、平均して、ある人の評価がその人の感情を強く予測していることを示す

 

コメント

この論文もまた、マルチレベル推しだったけど、こういうのを読み足りなかったから、理解があまり進んでいなかったんだなと思う。マルチレベルは統計の教科書で勉強してたけど、やっぱり実際にデータ、しかも自分の分野でやっているものを見ると書き方も含めて勉強になることが多い。

感情を評価の面から捉える評価理論は典型的だけど、ネガティブ感情をとらえるのにこんなに分かりやすいものかと少し感動を覚えた。今一度ふわふわした仮説形成を見直してこういうところから足場を固めて研究できるようにしたい。

論文

Silvia, P. J., & Brown, E. M. (2007). Anger, disgust, and the negative aesthetic emotions: Expanding an appraisal model of aesthetic experience. Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts, 1(2), 100–106. https://doi.org/10.1037/1931-3896.1.2.100