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曖昧さと不確実性への耐性、認知欲求、ストレスとの関連:イタリアの開業医を対象とした研究 (Iannello et al., Medical Education Online, 2017)

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みなさんこんにちは。

教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。昨日の論文はこちら▽

 

 

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曖昧さと不確実性への耐性、認知欲求、ストレスとの関連:イタリアの開業医を対象とした研究 (Iannello et al., Medical Education Online, 2017)

結論から言うと、性別と医療専門性、曖昧さと不確実性の耐性、決断力(認知的完結欲求に含まれる次元)、および診療年数が知覚された仕事関連のストレスの有意な予測因子であることが示された。

 

背景

■不確実性と曖昧さは医療現場に蔓延しているため、医師は常に不明確な文脈や状況の中で判断と決定を行うよう求められている 

・曖昧さと不確実性に対する耐性が低い医師は、(他の医師への)紹介率が高く、燃え尽き、不安、満足度が低いと報告する傾向がある

・曖昧さに対する耐性のレベルが高いほど、最適な管理戦略を特定するために、主に臨床検査や麻酔や臨床データの統合に頼る認知的な分野(例:内科)を好む傾向があり、一方、曖昧さに対する耐性のレベルが低いほど、医師が手技に強く依存する必要がある手技的な専門分野(例:外科)を好む傾向があることが示唆

 

目的

■医師の曖昧さや不確実性に対する不寛容さと認知的閉鎖の必要性が、医師の知覚ストレスのレベルを予測する上でどのような役割を果たすかを調査する

 

方法

参加者:212人の開業医

尺度:

・Tolerance for ambiguity (TFA) :7つの項目からなる曖昧さの状況に対処する能力の尺度

・Physicians’ reactions to uncertainty (PRU) :不確実性からのストレス(SUS)サブスケールと不確実性開示への不寛容(RDU)サブスケールからなる13項目の尺度

・Need for cognitive closure scale: 順序と構造への選好、予測可能性への選好、決断力、曖昧さに対する不快感、心の狭さの5つのサブスケール

・Job stress questionnaire (JSQ)

 

結果

■仕事関連ストレスは曖昧さの許容度と中程度の負の相関があり、不確実性に対するストレスのレベルと中程度の正の相関があることが示された

■人口統計学的および専門的予測因子(性別、経験年数、専門)は、最初に階層的線形回帰に入力され、その後、他のすべての心理学的予測因子(曖昧さへの耐性、不確実性からのストレス、およびすべてのNFCS次元)が入力

・すべての独立変数を含む回帰モデルは、統計的に有意であることが判明しました(R2 = 0.32; F(10,206) = 8.78, p < 0.001)

・特に、ストレスの最も強い予測因子は、特に不確実性に関連したストレスであることが判明

 

コメント

お医者さんの曖昧さ耐性とストレスに関する研究。

このグループは曖昧さと不確実性耐性が似て非なるものだという主張をしているらしい。(確かに相関もめちゃくちゃ高すぎるわけではない)

そう思うと自分の研究でも不確実性への不寛容尺度も取り入れたいけど、これまた日本語版しかなくて、若干の堂々巡り感がある。道徳的絶対主義/分裂因子と中程度相関するような概念を探しているが、NFCくらいしかないものかね~。

 

 

論文

Paola Iannello, Anna Mottini, Simone Tirelli, Silvia Riva & Alessandro Antonietti (2017) Ambiguity and uncertainty tolerance, need for cognition, and their association with stress. A study among Italian practicing physicians, Medical Education Online, 22:1, DOI: 10.1080/10872981.2016.1270009