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音楽と文学:共感と予測のメカニズムは共有されているか?(Omigie, Frontiers in Psychology, 2015)

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みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートと。じんぺーです!

今日も論文を読んでいきます。昨日の論文はこちら▽

 

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さっそくいきます!

 

音楽と文学:共感と予測のメカニズムは共有されているか?(Omigie, Frontiers in Psychology, 2015)

 ポイント

■音楽と言語は、感情的な意味の伝達と参照的な意味の伝達を主に担当するようになる前に、共通の進化の前駆体を持っていたことが示唆されている

■音楽と文学作品の両方が強力な感情を喚起するためのかなりの能力を共有していることを維持している

・音楽と文学の情緒的能力を独立して説明しようとするものもある

■音楽と文学的読解を結びつけ、他の多くの文化的成果物(絵画や彫刻など)と区別する最も重要な資質の一つは、両者が時間の中で展開され、後を追うことができる一種の「物語」を提供していること(Rabkin, 1973; Maus, 1991; Levinson, 2004)

→音楽と文学が共感と予測のプロセスを呼び覚まし、これらのメカニズムが感情誘導に果たす可能性のある潜在的な役割に焦点を当てる

■共感性は、感情的な経験を推測し、共有する能力として広く定義(Gallese, 2003)
・テキスト刺激がますます物語的になるにつれて、あるいは感情や感情がその中でより大きな役割を果たすようになるにつれて(言い換えれば、テキスト刺激がフィクションや物語的な文学に似始めるにつれて)、TOM処理に関与する領域(vmPFC, TPJ)だけでなく、扁桃体、視床、眼窩前頭前皮質(OFC; Wallentinら、2011)のような大脳辺縁系や情動系の領域も

物語の感情的な内容が大きいほど、前島皮質や中帯状皮質などの認知的および感情的共感に関連する構造の両方のリクルートが大きくなるという、さらに説得力のある証拠を提供(物語の中の感情性が大きいほど、共感や没入感が大きくなるという、いわゆるフィクションフィーリング仮説(Jacobs, 2015)と一致)

■音楽はそれ自体が感情的な対象ではないので、音楽を聴いている間に誘発される感情の少なくともいくつかは推論されなければならないと主張することができるかもしれない(Downey et al. 2013)

・音楽を聴いている間に、リスナーが認知的共感に関連する構造の活性化を示している

・SteinbeisとKoelsch(2009)は、音楽リスナーがコンピュータではなく人間が作曲した音楽を聴いていると考えると、内側前頭前野(mPFC)などの典型的なメンタライジングに関与する脳領域が活性化されることを示した

■共感のプロセスが文学的な読書と音楽鑑賞の両方の間の感情の強さに寄与している可能性があるという長年の考えを支持

■音楽と言語の文脈における不規則で予期せぬ出来事と類似した電気生理学的特徴が明らかにされている(Patel, 2008)

・確率の低い事象に対する「ミスマッチ」応答はより長い処理時間と関連しており、左右の下前頭回に局在する

・環境の中の出来事がどのように展開されるかについて、脳が継続的に能動的な推論を行っているという仮説であるベイズ脳仮説を支持するものとして解釈されるようになってきている(Garrido et al., 2009; Friston, 2010; Gebauer et al., 2012)

・緊張の連続的な主観的評価が、予測的処理と感情処理の両方に関連する領域である左眼窩前庭の展開活動と相関していることが示された

・サスペンスは、不確実性と期待感の感情を誘発するという点で、音楽的緊張に相当する概念である(Lehne and Koelsch, 2015)

・Lehneら(2015)の研究では、音楽的緊張と文学的緊張による不確実性の性質の違いが示唆されている

 

コメント

 音楽と文学の共通点と相違点を論じたレビュー論文。これから引用していくことになりそう。共感と予測に注目しているのも目の付け所がとてもいいと思った!

同じ文学といえど俳句に応用できるところはあまり多くはなさそうだけどね。

 

論文

Omigie, D. (2015). Music and literature: Are there shared empathy and predictive mechanisms underlying their affective impact? Frontiers in Psychology, 6, 1250. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2015.01250