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アート作品の評価におけるAIの属性知識の役割について(Gangadharbatla, Empirical Studies of the Arts, 2021)

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みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

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アート作品の評価におけるAIの属性知識の役割について(Gangadharbatla, Empirical Studies of the Arts, 2021)

結論から言うと、個人はAIで生成されたアート作品を正確に識別することができず、また、帰属知識とアート作品の種類(表現型アートと抽象型アート)の間には、アート作品の購入意向と評価に対する交互効果があることがわかった。

 

背景

■クリエイティビティは、現在、人間が機械に対して優位性を持っている分野のひとつ

・improbabilist creativity:身近なアイデアのありえない組み合わせに限定された創造性(Boden, 1996)

・ impossibilist creativity(不可能主義的創造性):領域の既存の慣習に照らし合わせて、その人が以前に持つことができなかった斬新なアイデアに関するもの

■近年、Al-generated artworkが急増している(Bidshahri, 2019)

・機械学習やニューラルネットワークを用いたアルゴリズムによって制作されたこれらのアート作品は、ほとんどの場合、人間が制作したアート作品と見分けがつかない

・AI生成アートワークに関する研究は、著作権(Dee, 2018; Svedman, 2020)、作家性(McCormack et al., 2019)、所有権(Eshraghian, 2020)に関する問題と、AIアートワークの知覚、好感度、受容性(Ch'ng, 2019; Coleman et al., 2019; Hong & Curran, 2019; Lee et al., 2019; Ragot et al., 2020)に注目した研究が登場したばかり

・Lu et al. (2005, p. 93) の調査では、回答者は「芸術作品は人間の手で作られた真剣な作品でなければならない」と強く感じており、芸術作品の作成や操作に何らかのテクノロジーを使用すると、それは偽物であり、人工的であり、オリジナリティに欠け、作成に費やした努力や時間に欠け、意味や価値に欠けるものとなる

・芸術作品は、鑑賞者が完全に評価し理解するための前提条件として、感情的な反応や意味のある出会いを呼び起こす必要がある(Lu et al.2005)

・アート作品の価値や審美的価値の推定には、オリジナリティ、審美的価値(Hong & Curran, 2019)、経済的価値(Newman & Bloom, 2012)、アート作品の制作に要した時間と労力の量(Kruger et al., 2004)、感情的なつながり(Lu et al., 2005)など、多くの要素が含まれる

■コンピュータ・アート・バイアス

・作品に対する個人の態度に影響を与えるのは、機械によって作られたという実際の事実よりも、機械によって作られたという知識、あるいは帰属知識と呼ばれる知識によってもたらされるバイアスではないかと考えられている

・一般の人が作品を見分けたり評価したりする能力については、あまり知られていない

・個人は抽象的なアートワークをコンピュータやAIに、具象的なアートワークを人間に帰属させることが示唆

■ラブラステスト

・より良いテストは、人工知能エージェントAが出力Oを生成し、システムAの人間の設計者Hが、AがどのようにしてOを生成したのか説明できないようなテスト

・TTを通過できない機械の場合と同様に、LTを通過できる機械や知的エージェントはまだ存在しない

 

研究1

■素材:インターネット上でAI技術を用いて制作された5種類のアート作品を集めた

・人間が制作した作品を2つ追加し、AIが制作した5つの作品と比較して、個人がどのように受け取るかを調べた

・樹木や風景、抽象的なものなど、よく似た作品を選ぶように注意

■手続き

・回答者に作品の制作者が人間か機械(AI技術)かを尋ねる短いアンケートが作成

・術全般に関する専門知識のレベルや、年齢、性別、人種、収入などの人口統計学的な質問

■参加者:211名(平均年齢は38歳で、20歳から89歳までの幅)

■結果

・5つのAl-generatedアートワークのうち、サンプルの大部分の人が正しく識別できたのは1つ(アートワーク4 - 82.5%がAl-generatedと識別したのに対し、17.5%が人間が作ったものと誤認)

・Chamberlainら(2018)が発見したように、彼らの印象はアートワークの種類に依存していた:AIが生成したと正しく認識されたアートワークは抽象的なスタイルであり、人間に起因するものは表象的なスタイル

 

研究2

■刺激:研究1で使用した作品の中から4つの作品を選んで実験

■デザイン:帰属知識を第一の独立変数とし、作品の種類(具象・抽象)を第二の独立変数とした

・1つ目の要因である帰属知識は、参加者がアート作品に触れる前に、そのアート作品に関する情報を提供することで操作

・この情報は、4つの作品すべてに先行して公開され、その結果、8つの実験グループに無作為に割り当てられた

・従属変数には、アート作品に対する態度や購入意向のほか、アート作品の評価に用いられるアートやアートワークの特徴として文献に記載されている9つの属性を設定:「独創性」「創造性」「表現力(表現の度合い)」「美的価値」「アイデアをうまく伝えること」「構成」「独自性」「感情移入」「経済的価値/価値」

・態度:、「良い/悪い」「魅力的でない/魅力的である」「楽しい/不快である」「否定的/肯定的である」などの項目で測定

■参加者:530人

■結果

・3つの従属変数である態度、購入意向、作品の評価に対して、帰属知識と作品の種類がどのような役割を果たしているかを調べるために、MANOVA:帰属意識と作品の種類との間の交互作用効果は、3つの従属変数のうち2つについて、p<.05の水準で統計的に有意

・抽象画(3、4)について、作品の評価が、帰属が正しい場合(M=4.5)の方が、帰属が間違っている場合(M=4)よりも高くなる

・購入意向についても同様の交互効果が見られ、抽象画3・4では正しい帰属表示の作品(M=4.2)の方が誤った帰属表示の作品(M=3.6)よりも購入意向が高く、具象画1・2では正しい帰属表示の作品(M=4.7)の方が誤った帰属表示の作品(M=5)よりも購入意向が低いという逆転現象

・個人は、抽象的なアート作品からコンピュータを連想するため(研究1の結果)、正しくコンピュータに帰属させることで、好意的に評価する可能性が高くなる。

・同様に、具象的なアート作品は人間を連想させるため、コンピュータに正しく帰属していても好意的に評価することは少ない。

 

コメント

AI or 人間作帰属ではなく、correct or incorrectとしているのはほんと謎。。結果出なかったのかな…

 

論文

Gangadharbatla, H. (2021). The Role of AI Attribution Knowledge in the Evaluation of Artwork. Empirical Studies of the Arts. https://doi.org/10.1177/0276237421994697