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What's in a name? 人工知能が制作したアートの美的判断に関する実験(Israfilzade, Journal of Arts, 2020)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

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What's in a name? 人工知能が制作したアートの美的判断に関する実験(Israfilzade, Journal of Arts, 2020)

結論から言うと、タイトルにAIの名前があると、AIによって作られたものではないにもかかわらず、私たちの視覚芸術の知覚にとってパフォーマンスを示す斬新で意外性のあるリファレンスとして機能することがわかった。

 

背景

■コンピュテーショナル・クリエイティビティの分野では、音楽、詩、絵画、映画やニュースの脚本、ジョーク、創造的な問題解決など、人間レベルのコンテンツを機械に作らせることが中心(Elgammal & Saleh, 2015)

・創造的な機械は自分の創造性だけでなく、他のエージェントの創造的な結果も判断できることが示されている(Shamir et al. 2016)

・CAN:既知の芸術スタイルとは一致しない画像を生成するように設計されており、「...既存モデルからの逸脱を最大化し、芸術分布からの逸脱を最小化する」とされている

■名前の効果

・論文名も「What's in a name?」とすることで、アーティストの名前が美的判断に与える影響について研究を行った(Cleeremans et al., 2016)

・名前によってアート作品の処理のしやすさが変わったり(Gerger & Leder, 2015)、アート作品の性質についてさらなる洞察が得られたりする可能性があると主張

・ビジュアル・アートのタイトルの存在が、観察者の作品に対する愛情(Belke et al., 2010; Gerger & Leder, 2015)や作品自体の知覚に影響を与えることが、いくつかの研究で示されている(Leder et al., 2004; 2006; Mullennix & Robinet, 2018)

・眼球運動分析を用いて、タイトルの知識が参加者による提示された抽象絵画への好感度を高めることが示された

・芸術作品が一流のギャラリーのものであるというブランドを付けた場合、個人は機械によって生成されたものであるというブランドを付けた場合よりも、同一の画像をより美的に魅力的だと感じた

 

方法

■参加者:実験群(n=28)の参加者の平均年齢は20.17歳(sd=1.86)、対照群(n=24)の参加者の平均年齢は20.42歳(sd=1.89)

■手続き

・実験グループの参加者は、5つの絵画の作者がすべて人工知能であるという偽のタイトルを受け取った (e.g. "Houses of the Holy VI" Painting by Artificial
Intelligence)

・質問票の測定尺度は、複雑性、新規性、意外性、面白さ、曖昧さ

 

結果

■抽象画の新しさに関する参加者の美的嗜好に有意な影響(F (1, 50) = 6.16, p0.02)

・実験群の参加者は、対照群(x̄=3.80, sd=0.91)に比べて、絵画をより新規性の高いものと感じている(x̄=4.31, sd=0.55)

■人工知能を作者とした絵画の方が、芸術家を作者とした絵画よりも意外性が高いという結果(F (1, 50) = 5.46, p0.03)

・実験群の平均結果は3.92(sd=0.89)であるのに対し、対照群では3.36(sd=0.86)

 

コメント

AIがタイトルについている時の美的評価の検討。新しさと驚きはAIがついているほうが高い。AIの方が評価が低い(アルゴリズム嫌悪)がおこっていないのはなぜだろう。起こりにくい項目だからかな。

 

論文

Israfilzade, K. (2020). What S in a Name Experiment on the Aesthetic Judgments of Art Produced By Artificial Intelligence. Journal of Arts, 3(2), 143–158. https://doi.org/10.31566/arts.3.011