写真俳句の時間に対する日本と西洋の視点(McMurray, The IUK journal of intercultural studies, 2021)
みなさんこんにちは!
微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。
今日も論文を読んでいきます。
写真俳句の時間に対する日本と西洋の視点(McMurray, The IUK journal of intercultural studies, 2021)
写真に反応して俳句を詠んだ1,206名の参加者を、時間のペース、モノクロニック、ポリクロニックの観点で分類した結果、写真を解釈して俳句を作り、時間を参照する方法によって、文化を区別することが可能であることが確認された。
背景
■文化は個人の認知、動機、感情、行動に影響を与える(Hall, 1959)
・日本人と西洋人では文字通り時間の捉え方が異なる(Masuda and Nisbett, 2003; Gutchess, Welsh, Boduroglu, and Park, 2006; Miyamoto, Nisbett, and Masuda, 2006; lyengar, 2010)
・価値観、宗教、言語、自然気候、社会的・経済的状況の違いは、文化の中に内在する文化的要素であり、写真俳句を作るときに思い浮かべることができる
・日本人は基本的にポリクロニックタイムを採用していますが、外国人に対しては厳格なモノクロニックタイムを採用
■異文化間の時間概念に関する先行研究
・Werner, Altman, and Oxley (1985, p. 14) は、生活のペースを「経験、意味、認識、活動の競争、速度、相対的な速さや密度」と定義
・31カ国の生活のペースを調べたLevine and Norenzayan (1999)は、日本と西ヨーロッパ諸国の生活のペースが最も速いと主張
・COVID-19の危機が、作家の時間の流れに対する認識を倍加させたことを表している
・ドイツをはじめとする西欧諸国の人々は、日本人に比べて、仕事が終わった後、あるいは仕事ができなくなったときに、ゆっくりとした時間を過ごすのが得意であることがわかった(Levine & Norenzyan, 1999)
■M-time
・モノクロニックタイム(M-time)とは、一度に一つのことだけに注意を払い、行うことを意味
・時間を直線的で分離可能なものとして捉え、単位に分けて考える文化を示す
・M-time文化は、アメリカ、ドイツ、スカンジナビアなどで見られる
■P-time
・ポリクロニックタイム(P-time)とは、一度に多くのことに関わることを意味
・P-time文化では、時間は自然に繰り返されるものと考え、"一度に多くのことをする "ことを重視
・P-time文化は自然に発生する時間の流れを重視
・P-time文化は人との交流に重点を置き、集団主義的な文化はポリクロニックな傾向
・日本、中東、南アジアの国々は、ポリクロニックな時間感覚を持つ傾向
・M-Timeは強い未来志向と相関し、P-Timeの概念は現在と過去の志向を意味
■俳句
・Kirkup(2020)「重要なのは言葉の背後にある精神であり、それは行間のポーズ、ためらい、そして沈黙である」
方法
■参加者:1,206名
■手続き
・12枚の写真をもとに写真俳句を作ってもらった
・本研究では、時間に関連した写真俳句のみを分析
■データ:「第9回松山フォト俳句コンテスト」に応募された英語のフォト俳句から得られたもの
結果
■異なる時間の捉え方をした
・一人の時間や家族と過ごす時間が増えたことを喜んでいるフォトハイクストもいれば、不満を綴っているフォトハイクストもいた
コメント
分析も論文の書き方もよく分からないところが多かったが(分野が違うので仕方ない)、着眼点はとてもおもしろいし、データの集め方も斬新。
論文
McMurray, D. (2021). Japanese and Western perspectives on time in photo-haiku. The IUK journal of intercultural studies, 21(3), 249-262.