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曖昧さに対する許容度に及ぼすケースメソッドの影響 (Banning, Journal of Management Education, 2003)

みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートについて発信していますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

 

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曖昧さに対する許容度に及ぼすケースメソッドの影響 (Banning, Journal of Management Education, 2003)

結論から言うと、対照群と比較した場合、ケース・ティーチングは学生参加者の曖昧性耐性を向上させることが示唆された。

 

背景

■ビジネス教育者は、学生の意思決定環境の複雑な性質に対処する能力を向上させる教授法を取り入れてきた

・シミュレーション、物語的事例、および他の非伝統的な教授方法

・ケースメソッドは、学生が実際の出来事を読み、分析し、文章化したものを議論することで、ビジネスの世界での曖昧な意思決定の状況に対応するために特に効果的な方法の一つとして提案

■曖昧性耐性

・TA は起業家行動(Schere, 1982)、交渉における有効性(Ghosh, 1994)、変化への対処能力(Judge, Thoresen, Pucik, & Wellbourne, 1999)、複雑性(Gupta & Fogarty, 1993)、意思決定アプローチの選択(Schwenk, 1982)と正の相関

・貴重な技術であることだけでなく、またそれが学習可能であるかもしれない

・教育方法を含む介入が学生の TA に及ぼす影響については、ほとんどエビデンスがない

・教授法は学生のTAに影響を与えないことがわかった(Stone et al., 1997)

■学習者が発見を通して環境を経験することで知識を広げていくことを示唆

・環境を発見して学ぶ方法の一つとして、ケースやシミュレーションなどの現実的な意思決定環境を再現することが挙げられる

・曖昧な合図を含むシミュレーションが学生のTAを増加させることができるのであれば、曖昧で誤解を招くような合図を用いる他の教授法もまた、曖昧さの許容度を増加させることができる可能性がある

■学生の制御の軌跡は、行動の変化や学業成績と強い経験的関係

・自分の環境をコントロールしているという信念によって特徴づけられる内部的なコントロールの軌跡が、学業成績の高水準と関連

 

方法

■参加者:実験グループには94名の男性と99名の女性(M=28歳),対照群の女性 22 名、男性 20 名(M=27)

■手続き

第一段階:年齢(年)と性別(男性は0、女性は1)を含む人口統計学的測定、統制の軌跡とTA(Budner, 1962)の尺度

第二段階:参加者は再び制御の軌跡とTAの質問票を記入。参加者の回答は、コースのパフォーマンススコアの合計値と照合。

■実験群

・実験グループの学生は、まず割り当てられたケースを読み、自分がケースの意思決定者であるかのようにクラスでの議論に参加するように求められた

 

結果

・t 検定は、実験サンプルでは介入期間中に TA がわずかに改善したことを示している(平均変化量 = 1.417、t = 3.944、p ≤ 0.01、片側)

・対照群では、TAはいずれの方向にも有意な変化を示さなかった(平均変化量= -0.167, t= -0.198, p ≤ 0.85)

・実験群が経験したTAの平均変化が対照群が経験したものよりも実質的に大きかったことを明らかにした(F = 3.878, p ≤ .05)

・内部の軌跡を持つ参加者がTAの平均増加を最も大きく達成した

・TAはアカデミックコースや多くの実社会の意思決定の文脈で成功するために重要であると考えられる

 

コメント

ケースメソッドといわれる教育学的介入によってTAの上昇が示された論文。以前までは、TAを授業で上げることは難しいとされていたみたい。それがこれで覆った?(もちろん一般化はできない)のは大きい。引用させてもらいます。

 

論文

Banning, K. C. (2003). The Effect of the Case Method on Tolerance for Ambiguity. Journal of Management Education, 27(5), 556–567. https://doi.org/10.1177/1052562903252652