画家の画風に合わせたアクションでキャンバスの下地を作り、美的感覚を高める(Ticini et al., Frontiers in Human Neuroscience, 2014)
みなさんこんにちは!
じんぺーです、今日も論文を読んでいきます。
画家の画風に合わせたアクションでキャンバスの下地を作り、美的感覚を高める(Ticini et al., Frontiers in Human Neuroscience, 2014)
結論から言うと、画家の画風と一致した行動のプライミングは、美的嗜好を高めることがわかった。
背景
■芸術的嗜好に関わる報酬関連の脳領域(特にオリビト前頭皮質;Jacobsen et al.2006;Ishizu and Zeki, 2011, 2013;Ticini and Omigie, 2013も参照)については多くの研究がなされていますが、他の脳構造の役割についてはこれまであまり検討されていなかった
・美的体験に対する運動野の寄与を調査(Freedberg and Gallese, 2007)
・他のタイプの刺激で示されているように、運動活動は単に作品の感情的性質に関連した隠れた接近または回避反応によって引き起こされる可能性 (Hajcak et al., 2007)
・一方で、芸術作品を鑑賞する際に、芸術家のジェスチャーを密かに、そして無意識にシミュレーションしているのではないかという仮説も
方法
■参加者:20名の健康な右利きのナイーブな人々(女性13名,平均年齢24歳)
■刺激:点描画風の高品質なカラー画像90枚
■手続き
・視覚運動トレーニング:スクリーン上に表示された3つの右手の手袋画像(図1A)のうちの1つを被験者に提示し(ランダムな順序で,10秒間,各6回),被験者に右手で目的のトレーニングを行うように指示した
・絵筆を精密に握った手の画像では,絵筆を精密に握った状態で点描運動を行うように指示
・パワーグリップで絵筆を持った手の画像では,パワーグリップで絵筆を持って,約10cmのストロークを描くように指示
・手のひらを下にしている画像では,手のひらを下にしてテーブルに置くように指示
・9段階のリッカート尺度に沿って,絵を評価しました(「とても好き」から「全く好きではない」まで)
・親近感:表2の質問を中央値で分割(和の中央値=5.5)した結果、参加者は9人ずつのアートに親しむグループとアートに親しまないグループに分かれた
結果
■ANOVA
・Group [F(1,16) = 0.665, p = 0.427, η2p = 0.040]および交互作用Group × Condition [F(2,32) = 2.577, p = 0.092, η2p = 0.139]は有意ではなかった
・因子「条件」が有意であった[F(2, 32) = 3.355, p = 0.047, η2p = 0.173]
・点描条件の絵画に対する美的選好度(4.974±0.181;平均±s.e.m.)は、パワー条件のそれ(4.877±0.168)よりも有意に高く(p = 0.048, Newman-Keuls post-hoc test)、対照条件のそれ(4.899±0.176;図2B)とはわずかに異なる(p = 0.067)ことがわかった
コメント
プライミングの画像入れたことで、何による結果か解釈がしにくくなっている。たしかに重要な研究だけど、どこかもったいない…(サンプルサイズも少ないし…)
論文
Ticini, L. F., Rachman, L., Pelletier, J., & Dubal, S. (2014). Enhancing aesthetic appreciation by priming canvases with actions that match the artist’s painting style. Frontiers in Human Neuroscience, 8(JUNE), 1–6. https://doi.org/10.3389/fnhum.2014.00391