心理学の名著を紹介している本を紹介する荒業【心理学系書籍レビュー➀】『心理学の名著30』サトウタツヤ著
こんにちは😊
日々、教育と心理学とロックンロールについて考えているじんぺー(@jin428)です!
教育系書籍レビューを行っていて、反応が少しだけあって嬉しいです、ほんと。
ありがとうございます。今のところ2冊ほどレビューしています。
そして、そちらが軌道に乗るのを待たずして、はじめます。
【心理学系書籍レビュー】シリーズ〜、ぱちぱち。
第1弾の今回は、これです。
たしかにどうかしてると思う。心理学の名著を紹介していくシリーズなのに第1弾で、「心理学の名著を紹介している本」 を紹介するなんて。
いやでも、これでいいんです。
心理学勉強し始めて3年くらいのやつなんかより、何十年も勉強している先生の本の方が確実に心理学の名著を知っているからです。
心理学を勉強したい人にまずおすすめしたいのはこの本ですね。
先ほども申したように、心理学はめちゃくちゃ領域が広いので、心理学を勉強したいといわれても具体的に何を学びたいかいまいちわかりません。
そこで、この本の出番です。「この本で紹介している30冊の中で、興味出たものから読んだらいいよ。」と言うだけです。簡単。
そもそもなぜ心理学??
第1弾ということで、もう少し前置きさせて下さい。
なぜ、教育大学に通ってて、教育について偉そうに語ってるやつが心理学の話を始めるんだと思われるかもしれません。
最初の記事にも書いたので、見て頂きたいのですが、なんとぼくは教育大学で心理学にはまったんですね~教育学専攻心理学コースと立ち位置です。
心理学という学問はきわめてその学問領域が広くて、ぼくがやっている認知心理学というものだけでも、人間の認知、思考、記憶、感情、言語などなどいろいろな分野があります。
そのなんでもありな学問が、知的好奇心で動いているぼくといい感じにマッチしたわけです~
大きく言えば、ぼくは人間というものに興味があります。人間はおもしろい生き物ですよね。
浅学の身ではありますが、少しでもそんな心理学の魅力をお伝えしたいと思っております!
目次がほぼ全て、30冊のラインナップを大公開
本書は多岐にわたる心理学領域を大きく3つに分けた上で、本を分類しています。
3つとは「認知・行動領域」「発達領域」「社会領域」です。最後に「心理学の展開」という章を加えた計4章がこの本の構成となっています。
1つずつ見ていきましょう~
第1章:認知・行動領域
- 『心理学について』ジェームズ―近代心理学の土台となる思想
- 『偉大な記憶力の物語』ルリヤ―記憶力がよければ幸せか
- 『自由と尊厳を超えて』スキナー―新たな行動主義
- 『誰のためのデザイン?』ノーマン―アフォーダンスの応用
- 『オプティミストはなぜ成功するか』セリグマン―無力感の研究から始まる楽観主義
- 『マインドフルネスを始めたいあなたへ』カバットジン―自分らしく生きるための思考
- 『脳のなかの幽霊、ふたたび』ラマチャンドラン―脳の中の意識ではないもの
- 『デカルトの誤り』ダマシオ―身体と精神は別ではない
- 『コミュニケーションの起源を探る』トマセロ―人は協力するために他人を理解する
どうですか?タイトル見ただけでもう読みたいでしょ!
もう1つ先に言っておかなければならないことがありました。実はぼくもこれらの本をすべて読んだことがあるわけではない、それどころか読んだ数の方が圧倒的に少ないです。
読まなきゃという気持ちもあるのですが、興味あるところがある程度定まってきたので、よりその分野を深く追究するような本ばかり読んでしまっています。
そんなぼくですが、 読んだことがなくても知っている人、本ばかりです。
この領域の人たともこれから出てくる領域の人たちも、心理学の参考書では太字になるような概念を生み出しているような人たちばかりです。
心理学にノーベル賞があったら実際にみんな取ってそうです。
あとは本選びですが、1番はもうフィーリングでいってくれたらいいと思うのですが、興味ある領域と照らし合わせて、選んでみましょう~
例えば、記憶について興味がある人ならルリヤの書籍を読んでみたり、デザインに興味があればノーマンの書籍を読んだりできます。
他にも、いま流行りのポジティブ心理学*1について勉強したければ、セリグマン、こちらも流行りのマインドフルネス*2について勉強したければカバットジンの本を読みましょう~
こんな感じであと3章いきます~
第2章:発達領域
- 『知能の発達と評価』ビネ、シモン―教育のための適切な検査
- 『精神分析入門』フロイト―心理学と精神分析のつながり
- 『心理学的類型』ユング―対立を乗り越えて
- 『教育心理学講義』ヴィゴツキー―心理学が教育にできること
- 『カウンセリングと心理療法』ロジャーズ―カウンセリングの可能性を開く
- 『アイデンティティとライフサイクル』エリクソン―人間の発達の可能性
- 『もう1つの声』ギリガン―他者への配慮の倫理
- 『意味への復権』ブルーナー―意味から物語へ
- 『対話的自己』ハーマンス、ケンベン―自己はたった1つではない
知能検査を完成させたビネ、シモン、無意識を発見したフロイト、発達の最近接領域*3を提唱したヴィゴツキーなどそうそうたる面々ですね。
教育学部で勉強している(た)方なら、このあたりの人はなじみがあるかもしれません。
3人並べてしまいましたが、フロイトの発見のレベルは他とは違うかもしれません。
というのも、少し豆知識をはさむと、20世紀3大発見というの聞いたことがあって、それは、
- アインシュタインの相対性理論
- ダーウィンの進化論
- フロイトの無意識の発見
の3つらしいのです。相対性理論や進化論と並ぶくらいの大発見だったのですね。
また、この方が分けられた3領域には入っていませんでしたが、臨床心理学も入るならここでしょう。ユングやロジャーズはそれらの代表かもしれませんね。
第3章:社会領域
- 『自由からの逃走』フロム―人間の本質とは何か
- 『夜と霧』フランクル―人生の意味を問いなおす
- 『社会科学における場の理論』レヴィン―ゲシュタルト心理学の流れ
- 『人間性の心理学』マズロー―動機付けを与えるために
- 『予言がはずれるとき』フェスティンガー、リーケン、シャクター―人は都合よく出来事を解釈する
- 『服従の心理』ミルグラム―誰もが悪になりうる
- 『影響力の武器』チャルディーニ―ダマされやすい心理学者による提案
- 『ストレスと情動の心理学』ラザルス―単純な因果関係を乗り越える
- 『マシュマロ・テスト』ミシェル―性格は個人の中にはない
こちらもまた、興味を引くタイトルばかりですね〜
文学的価値の高い『夜と霧』の著者ヴィクトール・フランクルや欲求階層説を唱えたマズローが有名でしょうか。
本書の良い点として、古い本、新しい本だけでなく、いろんな時代の本がバランスよく並んでいるところだと思います。
最後の『マシュマロ・テスト』は気になるタイトルかと思いますが、心理学実験の中で最も有名な実験の1つである同名の実験から来ています。
4歳の子どもに1個のマシュマロを与えて、与えた大人は部屋を退出します。その時に、
「15分後に戻ってきた時にまだマシュマロが残っていたら、もう1つマシュマロをあげる。残ってなかったらあげない。」
と言います。
結果、食べずに手に入れた子どもは1/3程度であったそうです。
この実験は子どもの自制心をはかっており、食べずに我慢した子どもの方が食べた子どもより優秀等、自制心と成績の相関も示されたそうです。
このようにあまりにも有名な実験も心理学には存在します。
第4章:心理学の展開
- 『目撃者の証言』ロフタス―記憶はどこまで信用できるか
- 『新しい文化心理学の構築』ヴァルシナー―普遍と個別を架橋する概念としての文化
- 『ファスト&スロー』カーネマン―行動経済学の基本にある心理学的考え
では、最終章いってみましょう〜
最初に、このラインナップの著者たちはノーベル賞クラスだみたいな話を書きましたが、30作目のカーネマンは経済学で本当にノーベル賞を取っています。2002年のことです。
2000年代でもまだまだ新しい概念が生み出され続けるというのも心理学の面白いところです。
人間に対する疑問がなくならない限り心理学の研究は続きます。
おそらく人間に対する疑問がなくなることはないので、心理学の研究テーマもなくなることはないでしょうね。
本書の別な読み方
本書はそれぞれの本を8ページずつくらい割としっかり解説しています。
というわけで、1冊1冊別に読まなくても、内容はなんとなく理解できます。
それぞれの分野に対して、そこまで深く入り込むつもりはないという方は、これ1冊で心理学という大きな学問を広く浅く勉強できるのではないかと思います。
今回は以上です。少しだけでも心理学の世界の興味を持って頂けたでしょうか?
これからは少しずつ深くに入っていきますが、分かりやすく書こうと思うので、ぜひ読んでくださいね!
今回もここまで読んで頂きありがとうございました!!
人間っておもしろいなあ