価値観のニーズの根拠:認知的閉鎖の必要性と価値の優先順位との関連性 (Calogero et al., Personality and Individual Differences, 2009)
みなさんこんにちは。
教育と心理学について考えているじんぺーです。今日も論文を読んでいきます。
昨日の論文はこちら▽
価値観のニーズの根拠:認知的閉鎖の必要性と価値の優先順位との関連性 (Calogero et al., Personality and Individual Differences, 2009)
結論から言うと、NFCC(認知的完結欲求)は安全性、適合性、伝統を大切にすることと正の関連があり、刺激や自己指示を大切にすることと負の関連があることが示された。
背景
■価値観とは、文脈、文化、時間を超えて人々の認識、態度、行動を導く、比較的安定した幅広い目標と定義される(例:Rokeach, 1973, Schwartz, 1992)
■価値観の重要な帰結が実証されている(Bardi et al. 価値観は、社会化、人生経験、性格的特徴、そしてここで特に関心のあるニーズ(例:Rokeach, 1973, Schwartz, 1992)を含む複数の前兆に基づいていると考えられている
・ニーズと価値観の間の潜在的な関連性を検証した研究はほとんどない
■今日最も著名な価値観の概念化の一つは、Schwartz価値理論(Schwartz, 1992)であり、これは世界中で広くテストされ、検証されている
・特定の価値観を支持する傾向のある人の多くは、隣接する価値観も支持し、価値観の輪の中で反対の価値観を支持しない傾向
方法
参加者:英国南東部の大学の参加者100人(男性34人、女性66人)
尺度:
・Need for cognitive closure questionnaire (Roets & Van Hiel, 2007)
・Schwartz value survey
・ general system justification scale (Jost & Kay, 2005)
・Paulhus’s balanced inventory of desirable responding (Paulhus, 1991)
結果
■ 高いNFCCは安全性の評価 (r(98)=.48、p < 0.001)、適合性 (r(98)=.47、p < 0.001)、伝統 (r(98)=.21、p < 0.04) と正の相関
■ 刺激の評価 (r(98)= -.42、p < 0.001)、自己志向 (r(98)=-.47、p < 0.001) と負の相関
■ 性別、年齢、保守的イデオロギー、社会的に望ましい回答の4つの潜在的な交絡変数をコントロールした場合、相関の大きさはほとんど変化しない
コメント
認知的完結欲求と保守的な(その反対としての開放的な)価値観の関連をみたシンプルな研究。
「価値観」という言葉は日常でもよく使うし直観的に理解しやすいけど、心理学の概念として頻繁に聞くわけではないので(特に最近の研究)、どれだけ妥当な概念なのかが気になった。保守的な価値観と認知的完結欲求も直観的にはそりゃ相関してるでしょみたいな感じで思っていたけど、基本に忠実に交絡変数をコントロールしていて、評価できるのかなと思った。認知的完結欲求尺度が日本語ver.では3因子だけど元は5因子もあったというのも初耳だった。
論文
Calogero, R. M., Bardi, A., & Sutton, R. M. (2009). A need basis for values: Associations between the need for cognitive closure and value priorities. Personality and Individual Differences, 46, 154-159.