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Hofstede価値観調査モジュール (1994) の心理測定特性の国際的研究:個人レベルと国/地方レベルの結果の比較(Spector, Applied Psychology: An International Review, 2001)

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みなさんこんばんは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートと。じんぺーです!

今日も論文を読んでいきます。昨日の論文はこちら▽

 

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Hofstede価値観調査モジュール (1994) の心理測定特性の国際的研究:個人レベルと国/地方レベルの結果の比較(Spector, Applied Psychology: An International Review, 2001)

 

背景

■仕事に関連した文化的価値観を評価するために、Hofstedeは価値観調査モジュール(VSM)を開発した

・多くの研究者は、国をまたいだ比較を行うために、ホフステードが提供した国別平均に頼ってきた

・しかし、心理測定特性に関する情報はほとんどなかった

・Hofstede (1994) のマニュアルには、5つの価値次元の信頼性(内部一貫性)と構成妥当性に関する情報がない

■VSMの最新版

・パワー・ディスタンス(社会における不平等な権力分布に対する寛容さ)

・個人主義(社会の構成員は、自分自身と肉親に気を配ることを期待されている)

・男らしさ(自己主張と物質的成功に焦点を当てた明確に定義された性別の役割)

・不確実性回避(社会の人々が曖昧な状況や構造化されていない状況に脅威を感じる程度)

・長期志向(忍耐と倹約に関わる、将来の報酬に目を向ける傾向)

の5つの次元を評価

 

目的

23の国・州のサンプル間で見られた平均値の違い、および参加者個人レベルと国・州全体の平均値レベルでの内部整合性について議論する

 

方法

サンプル:1996年に設立された国際的な研究を行うためのCollaborative International Study of Managerial Stress (CISMS)の一部

・23 の国・地域の管理職・管理職を中心とした 6,737 名

尺度:VSM 94 といくつかの追加尺度を加えたもの(逆翻訳は行っている)

 

結果

・ほとんどの組み合わせの内部整合性は許容できないほど低い

・表中の115個のアルファのうち、一般的に許容できると考えられている0.70の最小値を達成したのは13個だけ

・3つのサブスケール(パワーディスタンス、男性性、不確実性回避)では、0.60以上のアルファはなかった

■個人ではなく、サンプリング単位として国/州の平均を使用して分析を繰り返した

・部整合性は長期志向についてのみ許容可能であった(α=0.74)

・各国のUncertainty avoidanceの得点

日本61.1, フランス73.8, 香港60.1, UK45.6, USA45.4, Sweden7.6

・VSM 94の内部一貫性が低い理由として、翻訳の問題と範囲の制限という2つの可能性

・価値尺度が他のタイプの尺度のように文化間で輸出可能ではないことも考えられる

 

コメント

とても貴重なデータたち(23か国にもわたる文化比較+価値観の5尺度)なのに、信頼性が低いから使えないというのはもったいなあと思った。今書いている論文で、イタリアと日本人の曖昧さ耐性(この論文で、uncertainty avoindance)の比較をしたかったのだけど、イタリアのデータがなかったのが残念。フランスとドイツ、UKなどのヨーロッパ圏はあるけども、イタリアってどの国に似てるんだろう。

論文

Spector, P. E. (2001). An International Study of the Psychometric Properties of the Hofstede Values Survey Module 1994: A Comparison of Individual and Country/Province Level Results. Applied Psychology: An International Review, 50(2), 269. https://doi.org/10.1111/1464-0597.00058