4つの人種集団における不確実性尺度の心理学的分析 (Norton, Journal of Anxiety Disorder, 2005)
みなさんこんばんは!
微かに混じり合う教育と心理学とアートと。じんぺーです!
今日も論文を読んでいきます。昨日の論文はこちら▽
4つの人種集団における不確実性尺度の心理学的分析 (Norton, Journal of Anxiety Disorder, 2005)
結論から言うと、4つの人種グループ(アフリカ系アメリカ人、白人、ヒスパニック/ラテン系、東南アジア系)の非臨床参加者を対象に、IUS(曖昧さへの不寛容尺度)の心理測定特性を調査し、比較した結果、人種グループ間で信頼性と妥当性の推定値が概ね強く、非常に類似していることが示唆された一方で、IUSの因子構造は、どのグループにおいても解釈しにくいものであった
背景
■異なる人種グループや国籍の個人を対象とした最近のASIの心理測定評価では、一般的にASIの心理測定特性は様々なグループ間でかなり異なることが示唆されている
■不確実性の不寛容は、曖昧な状況を脅威として知覚する傾向によって特徴づけられる
・不確実性は恐怖や不快感の原因となり、一般化した不安や心配の発現に寄与する
■IUS (Freeston et al., 1994)
(1)不確実性は受け入れられず、避けるべきだという信念
(2)不確実性は人に悪い影響を与える
(3)不確実性はストレスをもたらす
(4)不確実性はフラストレーションをもたらす
(5)不確実性は行動を妨げる
という5つの因子
・Buhr and Dugas (2002)は、4つの因子構造
方法
参加者:ヒューストン大学の学部生540名(93人が「アフリカ系アメリカ人/黒人(非ヒスパニック)」、149人が「白人(非ヒスパニック)」、113人が「ヒスパニック/ラテンアメリカ人(a)」、94人が「東南アジア系」)
尺度:IUS、Generalized Anxiety Disorder Questionnaire-IV、Penn State Worry Questionnaire、Beck Anxiety Inventory、Beck Depression Inventory
結果
■人種間では、平均IUSスコアに差は認められなかった(F(3,445)=1.183、P=0.316)
・アフリカ系アメリカ人の平均値=52.65、S.D.=20.03
・白人の平均値=54.15、S.D.=17.75
・ヒスパニック系の平均値=55.45、S.D.=18.07
・東南アジア系の平均値=57.53、S.D.=19.54
■全サンプルにおけるIUSの内部整合性は非常に良好
■アフリカ系アメリカ人、白人、東南アジア系の参加者では5因子構造が抽出され、ヒスパニック系の参加者では6因子の解が得られた
・スクリー・プロットを検討すると、5因子解は4つのグループすべてで適切であることが示唆
・しかし、原版とは異なる項目に負荷し、因子の解釈可能性が低かった
■各群においてPSWQおよびGADQ-IVと強く相関
コメント
アメリカに住んでいる4つの人種間で曖昧さへの不耐性度に差はなかった。文化比較の1つではあるかもしれないが、同じ社会に生きているサンプルだったので、異なる文化での比較の論文はやはりあまり見つからないなあという印象。
論文
Norton, P. J. (2005). A psychometric analysis of the Intolerance of Uncertainty Scale among four racial groups. Journal of Anxiety Disorders, 6, 699–707.