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全般化した不安障害の不確実性の不寛容モデルの改訂:英国とイタリアの学部生サンプルからのエビデンス(Bottesi et al., Frontiers in Psychology, 2016)

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みなさんこんばんは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートと。じんぺーです!

今日も論文を読んでいきます。

 

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全般化した不安障害の不確実性の不寛容モデルの改訂:英国とイタリアの学部生サンプルからのエビデンス(Bottesi et al., Frontiers in Psychology, 2016)

結論から言うと、英国のサンプルでは、IU(不確実性への不寛容)から心配への経路を仲介したのはNPO(否定的問題思考)のみであり、不安への経路に関しては、どのメディエーターも有意ではなかった一方、イタリアのサンプルでは、IUから心配への経路ではPBW(心配に対する肯定的信念)とNPOがメディエーターであったが、IUから不安への経路ではCA(認知的回避)のみがメディエーターとしての役割を果たした。

 

背景

■IUは、もともと90年代初頭に全般性不安障害(GAD)のモデルと治療に取り組んでいたLavalのチームによって開発された構成要素

・モデルの主な特徴であるIUが心配性の認知的脆弱性因子として、またGADの維持因子としての証拠を補強した研究がある

■心配性および身体的不安レベル、すなわちGADの核心的特徴を決定する際にIUM成分がどのように作用するかのメカニズムを明らかにするために実施された研究はわずかである

・IUとNPOは3つの重症度指標すべてと相関があり、CAは診断重症度と身体症状重症度、PBWは診断重症度のみと相関があった

・年齢、性別、抑うつ症状をコントロールした場合、IUとNPOは心配性との正の相関を維持し、IUは身体症状の重症度よりも心配性の重症度とより強い相関

・IUの高い大学生と低い大学生を対象に、曖昧な状況、否定的な状況、肯定的な状況に対する評価を比較したところ、前者の方が後者よりも、提示されたすべての状況をより苦痛なものとして評価した(これは特に曖昧な状況に対して顕著であった)

 

目的

オリジナルのIUMモデルを再検討し、IUが心配/GADに優勢で先行することを支持する前述の証拠(Koerner and Dugas, 2008を参照)を考慮して、他のIUMの構成要素であるPBW、NPO、CAがIUを心配と身体的不安に変えるかどうか、またどのようにしてIUを変化させるのかをさらに調査しようとしました

 

研究1

参加者:英国の学部生170名(女性86.5%)

尺度:不確実性の不寛容尺度-12 (IUS-12; Carleton et al., 2007)、Why Worry-III (WW-III; Riley, 2010)、Negative Problem Orientation Questionnaire (NPOQ; Robichaud and Dugas, 2005)、改訂認知的回避質問票(R-CAQ; Heary, 2011)、Penn State Worry Questionnaire (PSWQ; Meyer et al., 1990)、Depression Anxiety Stress Scales -21 (DASS-21; Lovibond and Lovibond, 1995)

結果

・効果の大きさの点でPSWQと弱い相関を示した(r = 0.20)

・IUSの平均は30.38

・英国の大学生におけるIUと心配の経路においてNPOのみが媒介的な役割を果たしていることを示唆

 ・英国は未知のリスクを取り、管理する傾向が強い文化として報告されているが、イタリアは「強い不確実性回避文化」に含まれている(De Mooij, 2000, 2003; Stremersch and Tellis, 2004; Wennekers et al., 2007)

 

研究2

参加者:19~27歳(M = 21.17、SD = 1.54)のイタリア人学部生48人(女性61.7%)

尺度:研究1のイタリア語版

結果

・IUSの平均は24.63

・すべての尺度間の正の相関を強調している(小~中程度の範囲)

・CAではなく、PBWとNPOの両方が、IUと心配からの経路において有意なメディエーターであった

・IUはNPOと心配の間の関連性のみを修飾した:IUレベルが高ければ高いほど、NPOの媒介効果が大きかった

 

コメント

平均点を比べるのでなく、モデルの経路を文化比較するような研究。こういった研究は考察難しそうだなあと思った。(読んでいて、冗長に感じて最後の方あきらめた…)考察のところでしっかりIUの点数に差があること(イタリア人の方が得点が低いこと)に言及していて、これは使えそうと思った。

 

論文

Bottesi, G., Ghisi, M., Carraro, E., Barclay, N., Payne, R., & Freeston, M. H. (2016). Revising the intolerance of uncertainty model of generalized anxiety disorder: Evidence from UK and italian undergraduate samples. Frontiers in Psychology, 7, 1723. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2016.01723