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曖昧に表現された感情を効果的に処理するための前頭葉ネットワーク(Nomura et al., Neuroscience Letters, 2003)

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みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートをテーマに発信しておりますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます!

 

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今日の論文は何を隠そう自分の今のボスの論文です。

 

曖昧に表現された感情を効果的に処理するための前頭葉ネットワーク(Nomura et al., Neuroscience Letters, 2003)

結論から言うと、機能的磁気共鳴イメージングを用いて、曖昧な表情の認識に関与する神経基質を検討するために、被験者は、顔の表情を判断するタスクと性別を識別するタスクの2つのタスクを行った結果、曖昧な表情と明確な表情の条件を減算すると、前帯状回(ACC)、内側前頭前野(MeFG)、両側下前頭回(IFG)が活性化することが明らかとなった。

 

背景

■社会的な文脈では、顔の表情は通常曖昧なもの

・肯定的な感情と否定的な感情の両方を含む曖昧に表現された感情の社会的意味を評価するためには、強い精神的努力を必要とすることがある

・明確に表現された感情だけでなく、曖昧な表現(EA)についても、感情の価 値を迅速に判断することができる

■ポジティブな感情とネガティブな感情の両方を含むEAでは、情報の流れが競合する課題で重要な役割を果たす前帯状回(ACC)が強く活性化されると予測

・顔の表情などの感情信号の分類的判断には両半球間の接続が必要であり、ACCと両側の前頭前皮質間の接続が必要

 

方法

参加者:8人の右利きの被験者(男性7人、女性1人;平均年齢27±5歳)

素材:

・表情識別課題に使用した刺激は、ポジティブな感情とネガティブな感情が等しく混ざったEAを持つ8人の顔と、明確な表情を持つ8人の顔(ネガティブ4人、ポジティブ4人)のデジタル化されたグレースケール写真

・性別識別対照課題では、曖昧な性別(GA)の6つの顔と明確な性別(GC)の6つの顔(男性3名、女性3名)

 

結果

・EA-EC造影では、ACC、MeFG、両側下前頭回(IFG)の活性化が認められた

・GA-GC造影では、ACCと左IFGの活性化が認められた

(ACCがコンフリクトモニタリング機能を発揮するということは、情報処理におけるトップダウン制御の必要性を示唆)

・EA-ECからGA-GCを減算して、曖昧な感情を処理する特定の領域を明らかにする相互作用解析を行ったところ、ACC、MeFG、右IFGで有意な活性化が認められ

・構造方程式モデリング解析により、ACC の活性は MeFG 背側部の活性に正の影響を与え、逆もまた正の影響を与えていることが明らかになった

(MeFG背側部の活動は、感情刺激によって誘発された感情(快・不快)を評価するタスク関連の自己参照的精神活動と関連)

 

コメント

ボスの論文。対比がわかりやすいし、文量も少ないながらインパクトもあって、さすがだと思った。ACC、MeFG、右IFGあたりに注目して、自分の論文にも盛り込みたい。

 

論文

Nomura, M., Iidaka, T., Kakehi, K., Tsukiura, T., Hasegawa, T., Maeda, Y.,
Matsue, Y., 2003. Frontal lobe networks for effective processing of ambiguously expressed emotions in humans. Neurosci. Lett. 348, 113 – 116. 

https://doi.org/10.1016/S0304-3940(03)00768-7