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瞳孔径と青斑核のBOLD活性との共分散(Murphy et al., Human Brain Mapping, 2014) 

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

 

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瞳孔径と青斑核のBOLD活性との共分散(Murphy et al., Human Brain Mapping, 2014) 

結論から言うと、瞳孔測定とfMRIを同時に行うことで、ニューロメラニン感受性構造画像とLCアトラスを用いて、LCと重なる背側帯状クラスターにおける連続瞳孔径とBOLD活動の関係が明らかになった。

 

背景

■青斑核は大脳背側にある小さな核で、神経調節物質であるノルアドレナリン(NA; Berridge and Waterhouse, 2003; Sara, 2009)の分泌を介して神経処理に強力な影響を及ぼす

・動物における単一細胞のLC活動の研究に触発されて、多くの研究が行われた

・このシステムが、タスクエンゲージメントの調節や学習などの中核的な神経認知プロセスに関与

■瞳孔径は、最近、LC機能の有望な代理指標の候補として浮上しており、この目的のために採用されることが増えている

・最近の研究では、瞳孔径が探索-搾取のトレードオフの変化を追跡することが報告

・課題に関連する情報が入ってきたときの不確実性を追跡することが報告

・通常のfMRIを用いたこれまでの研究では、さまざまな環境下において、LC近傍のタスク関連活動が実証されてきた

・これまでのLC-fMRI研究の大半は,LCを正確に位置づけることを試みておらず,比較的小さな皮質下の脳領域の解析には適していない画像処理技術を用いており,LCのような脳幹核が特に敏感に反応するBOLD信号の生理学的に駆動されるノイズを制御することができなかった

▶ニューロメラニン感受性イメージング(柴田ら,2006)と既報のLCアトラス(Kerenら,2009)による正確な構造局在化,生理的ノイズ源に対する遡及的な統計的制御(Gloverら,2000),および空間的平滑化の有無によるfMRI解析を組み合わせたアプローチを採用

 

方法

■参加者:14名の健康な右利きの被験者(年齢層:21~48歳,平均年齢:29歳(±7.7),男性8名)

■手続き

・最初に安静時のスキャンを受け,次に視覚的オドボール課題を行った

・オッドボール課題は単純な注意パラダイムで,ヒトでは瞳孔径への影響(Gilzenratら,2010;Murphyら,2011),非ヒト霊長類ではLC活動への影響(Aston-Jonesら,1994;Rajkowskiら,1994,2004)がよく知られている

・すべての刺激は75msの間提示され,標的は課題全体の20%を占めるように擬似的に散りばめられた

■装置

・瞳孔測定:瞳孔径は,iView X MRI-SV eye-tracker(SMI, Needham, MA)を用いて,安静時およびタスク時の左眼から60Hzのサンプリングレートで連続的に記録

 

結果

■静止時の瞳孔径は、皮質と皮質下の脳領域のネットワークにおいてBOLD活性と相関していることがわかった

・以前に発表されたLCアトラス[Keren et al., 2009]とかなりの重なりを示すクラスターが背側の橋にある

・安静時に確認されたその他の脳領域は、視覚野、髄質、右島皮質、両側の前帯状皮質(ACC)

・課題を行っている間、瞳孔の直径は、中脳にまで及ぶ背外側の脳橋のより広範囲な領域のBOLD活性と相関した:このクラスターはLCアトラスと重なっており、アトラス空間の42%(18ボクセル)を占めていた

・瞳孔径は、タスク実行中の視覚野、上丘、両側の視床核の領域とも相関:

・タスク中にACCに局在するクラスターも同定されたが、多重比較の補正には耐えられなかった

・安静時と課題時の解析結果が一致する領域を二分してみると、背側橋と視覚野のクラスターのみが両者に共通していることが確認

・一次視覚野の活性化をBOLD信号から退避させたコントロール解析では、瞳孔径と背側ポンツーンのBOLD活性の関係はほぼ保たれており、瞳孔径とLC周辺のBOLD信号の間に観察された関係は、視覚活動の変化を介していないことが示唆

■BOLDの時系列に含まれる心拍数や呼吸などの生理信号の影響を抑制するために、RETROICOR法(Glover et al.2000)を用いて一次解析

・瞳孔径は、安静時(視覚野、ACC、島、髄質)および課題遂行時(視覚野、視床、中脳)の皮質-皮質下ネットワークのBOLD活動と相関していることがわかった

・瞳孔径とLC周辺のBOLD活性との間には再び相関関係が見られ、その空間的広がりは生理学的な補正を行っても影響を受けなかった

・空間的な平滑化を行った場合に比べて、脳の領域がより限定されていることがわかった

■VOI解析

・刺激タイプの主効果(F1,13 = 10.81, P = 0.006)が見られ、対応する推定BOLD反応は、標的刺激が標準刺激よりも大きなLC反応を引き起こすことを示した

・被験者間の相関を調べたところ、このVOI内のターゲットが引き起こすBOLD反応の大きさは、被験者間の平均応答時間(RT)の速さと強固に関連していた(r = -0.72, P = 0.004)

 

コメント

瞳孔径とLC関連領域(橋とか)の関連をみたという意味ではとてもシンプルな結果(仮説通り)だけど、ちょくちょく何をやっているかよくわからないところもあった(心拍、呼吸を統制するところとか、平滑化の有無とか)。もう1度読まないといけないかも。

 

論文

Murphy, P. R., O’Connell, R. G., O’Sullivan, M., Robertson, I. H., & Balsters, J. H. (2014). Pupil diameter covaries with BOLD activity in human locus coeruleus. Human Brain Mapping, 35(8), 4140–4154. https://doi.org/10.1002/hbm.22466