fMRIのBOLD信号の神経的起源をどの程度理解しているか?(Arthurs & Boniface, Trends in Neuroscience, 2002)
みなさんこんにちは!
微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。
今日も論文を読んでいきます。
fMRIのBOLD信号の神経的起源をどの程度理解しているか?(Arthurs & Boniface, Trends in Neuroscience, 2002)
ポイント
■機能的磁気共鳴画像(fMRI)は、健康時および疾病時に機能的に活動している脳領域を画像化する非侵襲的なツールとして普及している
・fMRIの最も一般的な手法は、血中酸素濃度依存(BOLD)イメージング
・その発見以来、この分野の主流となっている
・BOLDイメージングは,内因性の造影剤としてヘモグロビンを使用し,オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの磁化差を利用してfMRI信号を生成
・したがって、fMRIのBOLDは、血行動態との相関関係を仮定することで、間接的に神経細胞の活動を測定していることになる
・BOLD信号を正確に解釈するためには、血行動態反応を生じさせる基礎的な神経活動の性質を十分に把握し、神経血管結合として知られる神経生物学の2つの側面がどのように結びついているかを明らかにすることが重要
■神経細胞と血管の間で伝達される信号の性質と起源に関して、この結合の正確な性質はまだほとんどわかっていない
・BOLD反応の他の決定要因としては、血行動態反応自体の性質や、この反応がMRIスキャナーで検出される方法がある
■血行動態反応と fMRI の BOLD 信号
・血中酸素濃度依存性(BOLD)信号は、図Iの左から右に示すように、いくつかの重要な決定要因を持っている
・刺激に対する神経細胞の反応、神経細胞の活動と血行動態の反応を引き起こすことの間の複雑な関係、血行動態の反応そのもの、そして、この反応が磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナーによって検出される方法
■BOLD信号にはいくつかの構成要素がある
(1)刺激や背景変調に対する神経細胞の反応
(2)神経細胞の活動と血行動態反応のトリガーとの間の複雑な関係(神経血管結合と呼ばれる)
(3)血行動態反応自体
(4)この反応をMRIスキャナーで検出する方法
■機能的MRI(fMRI)スキャンにおいて、特定のスキャナーで観測されるBOLD信号の量に影響を与える多くの実験パラメータ
・磁場の強さ
・エコー時間
・関連するイメージング技術の種類
・例えば、エコー時間が30msのときの1%のBOLD信号は、血行動態の反応が一定であっても、エコー時間が60msのときの2%に相当
・BOLDイメージングは、頭部の動き、ゴースト、磁場の不均一性など、さまざまなアーティファクトの影響を受けやすい
・このように、多くの要因が、BOLD反応が特定の血行動態反応を反映する量に影響を与えるため、反応の定量化が困難
■Fristonらは、BuxtonらのBalloonモデルをさらに発展させ、血行動態反応の性質を特定するために多くの研究を行ってきた
・BOLD信号の血管的な基礎は、局所的な脳血流(CBF)の増加と、それと同時に起こる(小さいとはいえ)酸素代謝の増加との間の相対的な不均衡であると主に考えられている
・デオキシヘモグロビン:オキシヘモグロビン比の一過性の低下を引き起こす
・デオキシヘモグロビン濃度の変化に寄与するその他の生理的要因としては、血液量、血管形状、ヘマトクリット、基礎酸素濃度などがある
・これらの重要な初期要因はさておき、血行動態の反応は、皮質の領域や種によって大きく異なる
・血行動態反応の異なる側面は、異なるタイムスケールで変化する可能性があり、異なる神経的決定要因を持ち、BOLD 信号に異なる影響を与える可能性がある
■BOLDシグナルは、毛細血管レベルだけでなく、神経活動領域から数センチ下流の大きな静脈でも発生することが広く認識されている
・つまり、このような信号変化は、活性化した神経組織から空間的にずれていることになる
・このように、BOLDベースのfMRIの空間分解能は、微小血管の密度によって制限される可能性が高い
・微小血管の密度は常に神経細胞の密度よりも低く、「脳対静脈」論争として知られるように、大きな血管の寄与が妨げとなる
・スピンエコー法を用いたfMRIでは、このような静脈からの寄与を最小限に抑えることができるため、fMRIのBOLDをより正確に神経由来のものに分解するのに有用であると考えられるが、S/N比は犠牲になっている
・高磁場では、毛細血管は画像強度に大きな影響を与える
・したがって、この2つを組み合わせれば、ますます有用になるかもしれない
コメント
生理研で引用されていたから読んだ。あまり新しいことは分からなかった。
論文
Arthurs, O. J., & Boniface, S. (2002). How well do we understand the neural origins of the fMRI BOLD signal? “… …up to 95% of regional cerebellar blood flow increases might be dependent on postsynaptic activity.” TRENDS in Neurosciences, 25(1), 27–31. http://tins.trends.com