言葉の美しさを定量化する:神経認知的詩学の視点から(Jacobs, Frontiers in Human Neuroscience, 2017)
みなさんこんにちは!
微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。
今日も論文を読んでいきます。
言葉の美しさを定量化する:神経認知的詩学の視点から(Jacobs, Frontiers in Human Neuroscience, 2017)
結論から言うと、あるドイツ語の単語が、最適な長さ(このコーパスでは約12文字)、音節の特定の組み合わせ、ANMUT(優美)やFREUDE(喜び)などの単語との意味的な関連性、そしてかなり意外性のある単語であれば、その単語は美しいと分類される可能性が高くなる。
ポイント
■読者の脳が「LOVELY」や「SHRIEK」などの単一の単語に関する情報を処理する際には、多くの神経回路が連携して意味形成を行う
・ほとんどの理論モデルは、単語認識の基礎となる神経認知プロセスを強調し、情動・美学的なプロセスを無視してきた
・メタファー(McQuire et al., 2017)、ことわざ(Bohrn et al., 2013)、イディオム(Citron et al., 2016)、または詩(Lüdtke et al., 2014; Hanauer, 2015)などの、より大きな言葉の素材の美しさに関する研究を行っている
■Neurocognitive Poetics
・より自然で生態学的に妥当な課題や文脈における言語資料の読解時に、このような美的プロセスを重視
・Berlin Affective Wordlist/BAWL(Võ et al, 2006, 2009)、DENN-BAWL(Briesemeister et al., 2011)、EMOPHON(Aryani et al., 2013)、Affective Norms for German Sentiment Terms/ANGST(Schmidtke et al., 2014a)などのQNAツール
・定量的物語解析(Quantitative Narrative Analysis: QNA)
■QNAに基づく機械学習ツールの応用により
・単一の単語の好き嫌いの予測(Jacobs et al., 2016)
・シェイクスピアの154のソネットのモチーフカテゴリーへの分類(Jacobs et al., 2017)
・作者、文学性、詩のメタファーの適性の予測(Jacobs and Kinder, 2017, in press)
・主観的な物語への没入(Jacobs and Lüdtke, 2017)などに成功
■マイクロポエトリー
・読者はしばしば、詩全体に対してだけでなく(Jacobs, 2015b)、単一の単語に対してさえ、美と調和の自己報酬的な経験を報告
・一語詩という概念、つまり、単一の発話や言葉が、たとえ叙情的な文脈の外であっても、ヤコブソンの詩的機能を果たすことができるということを支持
・Jacobsら(2015)によって報告された行動研究では、標準的な線形(ステップワイズ)回帰分析により、言葉の美しさは感情価と親しみやすさの評価によって最もよく予測:他の2つの考慮された特徴である喚起性とイメージ性は非有意
■データベース
・最終的な分析には130のターゲットワードが残った(美しいもの75、醜いもの55)
・この分野の中心的な課題は、無数の特徴のうち、どの特徴が詩の美的鑑賞において特徴的であるか、あるいは潜在的に関連しているかを調査すること
・8つの暫定的な特徴を選択:
・2つのサブレクシス(音節に基づく)特徴は、音節数とソノリティ・スコア
・語彙的特徴は、単語の長さ(文字数)、驚き、正書法による近傍密度(N)、単語の類似性(130の対象単語すべてのGNに基づく意味的関連性)、価数(パラメトリックなポジティブ/ネガティブ値)、美的可能性(AP)の6つ
■結果
・ランキングによると、8つの特徴のうち1つは分類器の性能にあまり重要ではなく(重要度0.1未満:N)、単語の長さ(文字数と音節数)とAP(いずれも0.15以上)が重要な予測因子であり、次にソノリティスコアとsurprisingal(0.12)、単語の類似性とvalence(0.11)が続く
・一元配置のANOVAでは、APは醜い単語よりも美しい単語の方が有意に高かった[z-values: 0.25 vs. -0.33; F(1, 128) = 12.06, p < 0.0007, R2adj. = 0.08]が、この特徴単独の効果は非常に小さい
コメント
何をしているかよくわからないところもあったけど、、ところどころの知見は使えそう。詩や文学で曖昧性と美の関係ってそういえばあまり見てこなかったな。
論文
Jacobs, A. M. (2017). Quantifying the beauty of words: A neurocognitive poetics perspective. Frontiers in Human Neuroscience, 11(December), 1–7. https://doi.org/10.3389/fnhum.2017.00622