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Wu Guanzhongの中国絵画におけるホワイトスペースの評価と分析(Fan et al., Leonardo, 2019)

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みなさんこんにちは!

じんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

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Wu Guanzhongの中国絵画におけるホワイトスペースの評価と分析(Fan et al., Leonardo, 2019)

結論から言うと、白い空間は、ある情報を伝えるために意図的に設計されており、鑑賞者の美的体験に大きな影響を与える

 

背景

■白い空間を残すことは、中国絵画における典型的な芸術的手法

・美術評論家は、このような空間は単なる無意味な空の背景ではなく、絵画の全体的な構成のために意図的に空にしたり、空としてデザインされていると主張

・しかし、美術の専門家は、白い空間が単なる空虚で無意味な空間ではなく、有益な情報を伝え、絵画の構成に寄与するように意図的に設計されていることを、客観的かつ定量的に証明するのは難しいと考えている

・現代の巨匠として知られる呉冠中(1919-2010)

・呉は、西洋の油絵と中国の水墨画の両方を学び、両方のスタイルを習得

・呉が描いた余白のある中国の水墨画と,それと同じ,あるいは類似した場面や対象を描いた油彩画を選び,比較検討をおこなった

・美術評論家は、中国絵画のホワイトスペースは何か重要なものを表していると考えており、鑑賞者が想像力を働かせて空白を埋めることができるとしている

■魅力的な領域の計算 

・人間の視覚的注意の制御には,刺激に左右される迅速なボトムアップ戦略と,意思に左右される緩慢なトップダウン戦略の両方が含まれる

・NodineとKrupinskiの2段階モデルは、高速スキャンで絵画を見ている人がその主要なポイントを知覚できることを確認

・もしホワイトスペースが単なる無意味な背景ではなく、特定の情報を伝えるものであれば、視聴者の注意を惹きつけることができるかもしれない

・顕著性モデル

・任意の絵画の salient 領域を計算することができる

■呉氏の代表的な絵画を選び、それぞれの絵画のサリエンシーマップを計算することで、ホワイトスペースがサリエント領域に含まれるかどうかを分析

・白い部分が30%以上を占めている場合、顕著な領域にはホワイトスペースが含まれていると判断

 

方法

■参加者:天津大学で理工学を専攻している学生22名

■手続き

・インターネットでダウンロードした5枚の絵画を使用:「春の雪」、「家のある風景」、「江南の春」、「双子のツバメ」、「四角い庭」

・参加者には、それぞれの絵の中で見たものをすべて述べてもらい、4つの評価基準に1〜7の点数をつけてもらった:製品やユーザインタフェースのデザインの魅力を評価するための尺度であるAttrakDiffアンケートから選択

・23の質問があり,1から7までのスコアリングスケールを使用している.これは3つの次元で計算:「実用的品質」、「ヘドニック品質」、「魅力」の3つの次元で計算:Hedonic Qualityを2つの次元に分けている:「刺激」と「アイデンティティ」

・「複雑さ」は新たな次元として追加

・今回の実験では、川、壁、テラス、滝など、さまざまなシーンを描いた水墨画と油彩画を7組用意

 

結果

■水墨画が油彩画よりもシンプルに見える

■魅力の次元では、7枚のうち5枚の水彩画が油彩画よりも高いスコアを示した

 

コメント

心理学の雑誌ではないので、形式がよく分からなかったが、余白の大事さを伝えるのには十分すぎる!

 

論文

ZhenBao Fan, Kang Zhang, XianJun Sam Zheng; Evaluation and Analysis of White Space in Wu Guanzhong’s Chinese Paintings. Leonardo 2019; 52 (2): 111–116. doi: https://doi.org/10.1162/leon_a_01409