人間は曲線のある物体を好む(Bar & Neta, Psychological Science, 2006)
みなさんこんにちは!
じんぺーです。今日も論文を読んでいきます。
人間は曲線のある物体を好む(Bar & Neta, Psychological Science, 2006)
結論から言うと、輪郭の急激な変化は脅威を感じさせ、負のバイアスを引き起こした。
背景
■視覚的対象物の好き嫌いは、対称性、原型性、コントラスト、複雑性、知覚的流暢性などの要素に影響される
・迅速な印象の形成を媒介する重要な視覚プリミティブの一つが、物体とその特徴の輪郭がどの程度湾曲しているかであると考えた
・この予測の根拠は、輪郭の鋭い変化は、意識的にも無意識的にも脅威を感じさせ、負のバイアスを引き起こすのではないかというもの
方法
■参加者:14人の被験者(18-40歳)
■刺激:刺激は140組の実物で構成
・意味的にも一般的な外観も同じであり、両者の大きな違いは輪郭の曲率
・本来は正負の価値を持たない日常的なものであった(例:時計やソファ)
・ペアのうち23組は英語の文字(尖った文字はArialフォント、滑らかな文字はArialの丸みを帯びたMT)
■手続き
・それぞれのペアの1つ(鋭角のものと曲面のもの)と,すべての対照物を見た
・被験者はその場での「直感」に基づいて,各絵について好きか嫌いかを強制的に選択させられた
結果
■曲がった物体への好意が対照物体よりも有意に高い,t(13) = 2.43, prep = .94, d = 0.62
・好意の平均値は,鋭角な物体が50.6%,曲がった物体が67.2%
・同様の結果は、無意味なパターンに対する嗜好についても得られた。t(13) = 2.56, prep = .95, d = 0.67となり,曲がったパターン(37.9%)の方が鋭角のパターン(24.8%)よりも有意に好まれた
・曲線の輪郭を持つ単一の文字は,鋭角の輪郭を持つ文字よりも有意に好まれた,t(22) = 3.00, prep = .97, d = 0.62
■実在する物体の曲面(595ms)とシャープ(600ms)の平均反応時間には,t<1,無意味なパターンの曲面(571ms)とシャープ(572ms)の平均反応時間には,t<1の有意差なし
・この結果は、湾曲した物体への偏りが、知覚的な流暢さでは説明できないことを示している
コメント
この研究を盛り上がらせた論文。短いけど、おもしろい。
論文
Bar, M., & Neta, M. (2006). Humans Prefer Curved Visual Objects. Psychological Science, 17(8), 645–648. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01759.x