学校の働き方を物語形式で考える【教育系書籍レビュー⑨】めっしほうこう 藤川伸治著
みなさまこんにちは。
教育と心理学について日々考えていますじんぺーです。
今回は久しぶりに教育系の本を読んだので、簡単にですがレビューしたいと思います。
前回レビューしたのはこちら↓↓
江澤先生の時短本について書きましたので、ぜひ読んでみてください~
そして今回読んだ本は、藤川伸治さんが書かれた「めっしほうこう」です。
結構前に買っていたのですがね。。
藤川さん @PvTs0o6M09FEHcu の本にやっと手を付けることができました。
— じんぺー@Teacher Aide (@hitsuwari5th) August 14, 2019
冒頭30ページほどですが、思っていた本と全然違いました。続き早く読みたい!
内田先生 @RyoUchida_RIRIS の本ではないです笑 pic.twitter.com/b67sa1mt96
レビューする暇がなかったのです。。
そして、今日やっとのことで、振り返ることができますよ~
- 「めっしほうこう」の作者は藤川伸治さん!
- 学校の働き方を物語形式で考える
- その世界では変形労働時間制が導入されていた
- 教員の働き方を地域にオープンしていく
- 私たちTeacher Aideは希望になれるか
- まとめ
「めっしほうこう」の作者は藤川伸治さん!
藤川さんとは、ネット上ではだいぶ前から繋がりがあり、連絡を取り合うこともあったのですが、お会いしたことはないのですよね~
内田良先生と苫野一徳先生が対談されたことでも話題となった「みらいの教育」という本の企画と編集を行った方ですね!
そんな方が書かれた「めっしほうこう」という本についてご紹介します!
学校の働き方を物語形式で考える
ぼくが取り上げる本の多くは、学校の働き方に関する本です。
その多くが事実を語った専門書(教育書)のような位置づけです。
この本もそうでしたね~
(この記事書いたの1年前か、感慨深いなあ)
しかし、今回紹介する「めっしほうこう」はそんな専門書は趣向を異にしています。
なんと、物語形式です。
その世界では変形労働時間制が導入されていた
「キーンコーン カーンコーン」
というよくマンガやドラマでもありそうな書き出しから物語がスタートします。
そうと思うと、AIロボット「アイちゃん先生」が学校にやってくるという展開です。物語の舞台は2023年。
そのあたりの近未来感(まあそんな未来の話でもないかもしれませんが)を楽しんで頂きたい気持ちはあるのですが、最初の注目ポイントは、「変形労働時間制」です。
2023年には既に「変形労働時間制」は導入されていました。
(あくまで、物語の話。現実になりそうですが…)
ぼくが特に心に残っているのは、はじめて職員会議で「変形労働時間制がはじまります」と校長先生が職員に話をした場面です。
子どもを保育園に預けている先生、親の介護をしている先生、夏休みも部活があって暇じゃないという先生、多くの方が校長先生に詰め寄ります。
校長先生は、
前もって前月のはじめには、1日1日の勤務時間については、教頭先生が先生方お一人おひとりの事情を聞きながら決めます。
ー p.46
と言いましたが、こんなにもいろいろな先生が別々の事情を抱えていると、そのようにも言ってられないことは明白でした。
たしかに、「変形労働時間制」の 条文には、
第6条 育児を行う者、老人などの介護を行う者、職業訓練または教育を受ける者その他特別の配慮を要する従業員に対する本協定の適用に当たっては、会社は従業員代表と協議するものとする。
という項目があります。
しかし、「めっしほうこう」のここでのやりとりがリアル過ぎて、自然過ぎて、ぼくはとても恐ろしくなりました。
こういうやりとりがここ1,2年くらいで繰り広げられていくんだろうなあ、と。
「変形労働時間制」については他にもいろいろ思うところはあるのですが、ここでは本の紹介に戻りますね!
教員の働き方を地域にオープンしていく
物語の性質上、ネタバレを配慮しながら書くのが難しいですね~!
物語の中の学校はあるきっかけから、教員の働き方を考えるシンポジウムを開こうという話になります。
保護者にも、そして地域の方々にも先生の働き方のようすを包み隠さず伝える。それが現状を変えるいいきっかけになるといいます。
ぼくもつい先日、こんなコメントを頂きました。
でも実際は…ボランティアに参加している、意識の高そうな方々と雑談しているときでも、お母さんたちの話題は部活の先生の悪口ばかり。「全然素人なのよ!」「指導もできないくせに」とか。希望でも専門でもないのに、休日や放課後を捧げている現実はまず理解されません。(>_<) https://t.co/PHNAWzJQTM
— campdream (@campdream1) October 27, 2019
保護者の方や地域の方々の理解が進んでいない象徴のようなコメントですよね…
さて、そのシンポジウムは大学教員の話から始まり、第2部では、パネルディスカッションが行われます。
メンバーは教育長、校長先生、PTA会長、教職員組合の組合員の4人でした。校長先生とPTA会長を交えた話し合いというのは、聞く人にとっても刺激的でないかと思います。とても興味深い議論がなされていました。
(ぜひ読んでみてくださいね~)
そして、会の最後の1人の先生のお話がとても心に残っています。少し引用してみます。
4年前に、学校の働き方改革を進めるための通知が文科省から出されました。しかし、その通知に書かれていることの多くは実現されず、学校は変わりませんでした。(中略)
その理由の1つは、自分は少々無理をして長時間労働をしても倒れるなんてことはないと勘違いをしている教職員が多いからだと思います。2つ目は、教職員の高い使命感です。学校のことはすべて教職員でなんとかしなければならない、と思い込んでいました。「SOS」を社会に向かって教職員自らが発信することをしてきませんでした。
ー p. 234
結局は上で述べたことと同じですね。学校の働き方を教員以外のいろいろな人に知ってもらう、そして手を取り合いながら、改革を進めていかないと、ということです。
私たちTeacher Aideは希望になれるか
最後に、宣伝する気はさらさらなかったのですが(ほんとです)、嬉し過ぎたので紹介させてください。
あとがきに名前を載せてもらいました!!!藤川さんありがとうございます…!!
そして、「希望」と大きく書かれていますが、果たして私たちにその「希望」が務まるでしょうか。
上で書いてきたこと、つまり、教員の働き方を保護者や地域の方々、より多くの人に知ってもらって働き方改革を社会全体で進めていくという視点に立てば、私たちにできることはたくさんあると思っています。
この団体を始めた時から、「先生が言いにくいことを言っていくぞ」と決めていました。
つまり、先生は当事者であるので、SOSが出しにくい立場にいると思うのです。それをぼくら学生が代理で訴えていく。そういうことができるポジションにいるのではないかと思っています。
まだまだ無力すぎますが、少しでも希望と思ってもらえるように頑張りますよ!
まとめ
以上、藤川伸治さん著の「めっしほうこう」について、簡単にレビューしてみました。
物語形式で学校の働き方について考えることができる本でした。上で言い忘れましたが、物語だけど、引用文献の量ははんぱないです。いたるところに注釈で文献名が明記されています。
また、いつも言うように、ぼくの記事は手にとってもらうために概略をさら~っと書いています。
とても読みやすい本でもあるので、読んでみてくださいね~