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美的評価のダイナミクスを説明するための認知メカニズム (Carbon, i-Perception, 2011)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートについて発信していますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます!

 

 

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美的評価のダイナミクスを説明するための認知メカニズム (Carbon, i-Perception, 2011)

結論から言うと、美術史、哲学、心理学などのさまざまな研究分野で見られる美的評価の典型的なダイナミクスを説明するために、それ自体を動的に適応させる2段階のモデルを開発した:第一段階では、革新的な素材を創造し、それに向かって確立していく特異な創造的源を想定し、第二段階では、人々はそれを視覚的な習慣に統合することで適応する

 

ポイント

■経験的美学の広い分野における研究では、美的判断、特に視覚的美学の観点から何が好きで何が嫌いかについて、非常に信頼性が高く一貫性のある評価が示されている

・美的判断の心理的基盤を調査する研究のほとんどは、人間の顔の美学という特定の領域で実施されている

■「社会的期待理論」(Langlois et al 2000)

(a)文化的規範と経験が美的対象の知覚を形成し、

(b)社会的固定観念がそれ自身の現実を作り出すという仮定に基づいているため、文化的・社会的状況にかなり適応する能力を持つ

■特定のスタイルのダイナミクスをより深く洞察するためには、美術史の文脈に基づいたアプローチを参照しなければならない

・美術史は一般的に、異なる芸術様式がどのように進化したのか、どのようにしてお互いに影響を与え合ったのか、そしてどのようにして時代遅れのものに取って代わるのかについての理論を展開

■特定のスタイルを特徴的に使用することで、芸術家やデザイナーは自分たちのブランドを創造し、それが認知され、関連付けられることが重要である e.g., ルノワール

・むしろ、単なる露出(Zajonc 1968)や、繰り返しの評価によって引き起こされる理解や鑑賞のような認知メカニズム(Carbon and Leder 2005; Faerber et al 2010)のようなプロセスが、鑑賞者が頻繁に利用できる特定の模範的なものに対する美的鑑賞の増加につながったのではないかと考えられる

■Martindale『時計じかけのミューズ』(A Clockwork Muse)

・音楽、視覚芸術、詩学など様々な分野で芸術的スタイルが周期的に変化していることを示す強力な証拠を集めている

・強い適応の認知メカニズムは、プロトタイプのシフト(Carbon 2009; Carbon and Leder 2006; Leopold et al 2005)、規範性/冗長性の評価(Carbon and Ditye 2011; Rhodes and Jeffery 2006)、嗜好(Carbon 2010; Carbon et al 2007; Farber et al 2007; Rhodes et al 2003)を説明する上で非常に強力であることが証明

■典型的な鑑賞者(Carbon and Leder 2005参照)の側には固有の保守主義があるが、芸術家の側には高い革新力と柔軟な嗜好があると仮定することで問題を解決している(Matindale, 1994)

 

コメント

芸術鑑賞のメカニズムというよりは、美しいと思われるもののイノベーションとトレンドに注目した研究。適応と同期のキーワードで語られていて面白いけど、あまり引用することはなさそう。

 

論文

Carbon, C.-C. (2011). Cognitive Mechanisms for Explaining Dynamics of Aesthetic Appreciation. I-Perception, 708–719. https://doi.org/10.1068/i0463aap