給特法とは?全教員(になりたい人)は知っておくべき法律がここに。【教育系書籍レビュー➀前半】『教師のブラック残業』内田良・斉藤ひでみ編著
【10/28追記】
「みらいの教育」に続きこちらも内田良先生に見て頂けました。嬉しい。
教育大の学生さんが,#給特法 について勉強してくださっている!
— 内田良/学校リスク研究所:部活動・教職を持続可能に! (@RyoUchida_RIRIS) 2018年10月28日
とってもうれしいです☆
(『教師のブラック残業』のレビューをありがとうございます) https://t.co/ArU4BylJTp
【10/22追記】
なんとTwitterで記事更新のツイートをしたら、著者の1人である斉藤ひでみさんからコメントがありました。本当に嬉しく励みになります!ありがとうございます!
内田先生との共著『教師のブラック残業』について、ブログで紹介して下さってる!
— 斉藤ひでみ/現職教員 (@kimamanigo0815) 2018年10月22日
しかも一回じゃ語り尽くせないからと、二回に渡って!
本当に有難うございます!
果たして #給特法 がどうなるか、ここから1〜2ヶ月間の国の審議にかかっています。。
ぜひ今、多くの方に手に取ってもらいたいです。 https://t.co/4avfXtn7B5
こんにちは😊
教育と心理学とロックンロールについて日々考えているじんぺーです。
前回まで書いていた【教育大学、教えます】シリーズは一旦お休みして、(前回の記事はこちらから)
【教育系書籍レビュー】のシリーズを立ち上げました、ぱちぱち。
記念すべき第1冊目はこちら。
内田良、斉藤ひでみ編著の
『教師のブラック残業?「定額働かせ放題」を強いる給特法とは?!』
そうです。実はぼく初回にして、けっこう攻めてます。
本書の構成に沿って、各章要約しつつ、ぼくが考えたことも混ぜていければなあと思っています!
書き始めたら文字数凄いことになってきたので、本書は前半、後半に分けます。
今回は前半戦です。
第1章:職員室のリアル―エビデンスが示す教員の生き方
この章では、さまざまなエビデンス(科学的証拠)をもとに、現在の学校現場をみていきます。
まことしやかに噂される話や固定観念に左右されずに、データをもとに考えていこう!というのが内田先生の基本方針です。
本書にあがっている例を1つ見ます!
「過労死ライン」を越える教員の割合とは!?
まず、「過労死ライン」とは何かといいますと、
発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、あるいは、発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合をいう。
とおおよそ定義されています。
これを踏まえて、教員の時間外労働のデータを見ていきましょう。
小学校教諭
80時間以上:33.5%
100時間以上:17.1%
中学校教諭
80時間以上:57.7%
100時間以上:40.7%
(2016年度)
となっているみたいです。
意外と少ない?と思った方、感覚が麻痺しているかもしれません😭😭
ぼくはめちゃくちゃ多いと思います。データだけでいうと、これだけの人たちが働きすぎで死んでしまうかもしれないのです。
また、この数字には持ち帰り仕事の時間が含まれていないことも言及されています。持ち帰り仕事のデータもあり、
小学校教諭
平日:29分
休日:68分
中学校教諭
平日:20分
休日:70分
(2016年度)
これらを合わせると、過労死ラインを越える教員はさらに増えると書かれていました。
内容盛りだくさんなので、気付いたらたくさん書いていますね><
休憩時間のこと考えてますか?
「長時間労働」を論じるにあたって、しばしば見落とされがちなのは、その「長時間」のなかで休憩時間がほとんどとれていないことである。
―p30 1,2行目
たしかに、残業時間や、持ち帰り仕事の時間が議論されている中でも、休憩時間については議論の俎上にも載らないですよね。
先ほど上で見てきたデータは、2016年度の教員勤務実態調査によるものなのですが、同じデータによると、学級担任の休憩時間は、小学校も中学校も各学年1~2分程度だそう。
あの長時間労働に対する休憩時間が数分というのは、考えただけでも恐ろしいです。
初任者研修用資料を調べると、「教師の1日」という欄には、そもそも「休憩時間」の記述がないところもあるといいます。
コーヒーどうぞ。
第2章:歯止めなき長時間労働―給特法のこれまでとこれから
本当に知ってほしかったことはこの章に書いてあります。
皆さまは「給特法」を知っていますか?(お願い、知っといて)
簡単に説明すると、給特法とは、
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称。教員の勤務態様の特殊性をふまえて、公立学校の教員について、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4パーセントに相当する教職調整額を支給することを定めた法律。昭和46年(1971)制定。
というものです。
砕いていうと、
「残業(代)なしを規定した法律」
となり、内田先生はこう言います。
4%の教職調整額を支給する代わりに、残業代は支払わないという形式である。こうして、教員の働き方は「定額働かせ放題」となった。
―p48 8,9行目
「定額働かせ放題」なかなか衝撃的なことばですね。。。
教職調整額の4%って何なの??
ぼくの疑問はすぐにここに辿り着きました。
この疑問の答えも本書に書いてありました。
1966年度に文部省が実施した「教員勤務状況調査」において、1週間における時間外労働の合計が、小中学校で平均1時間48分と算定されたからである。この2時間弱という実労働時間が、月給の4%に置き換えられたのである。
―p48 11~13行目
第1章で見た、2016年度のデータと大きく異なっていることがすぐに分かったと思います。
時間外労働は今、小学校で18時間40分、中学校で24時間33分(それぞれ週あたり)に増加しているので、どれだけ時代に見合っていない法律か、ここからも分かるかと思います。
残業代なしがなぜいけないのか
最後に1点、残業代がないとなんでだめなのか、教員の人もよく言ってる「お金が欲しいわけではない」と。
ぼくもその問いになかなか答えられずにいたのですが、本書に見つけることができました。
給特法がもたらした結果として、2点挙げられています。
- 職場の時間管理を不要にした。
- 使用者(国、自治体)や管理職から、残業抑止の動機付けを奪った。
特に、2に注目したいと思います。
教員の方は、「お金が欲しいわけではない」の後に「業務を減らしてくれ」と続くことが多いです。
残業代の有無は前者だけでなく、後者にも影響してきます。
つまり、「定額働かせ放題」の裏技を使っている限り、国や自治体、管理職は業務を減らす努力を(あまり)しないのです。
教員がいくら働いたとしても、経済的ダメージがないから。
これに残業代がかかった時、絶対に状況が変わってきます。頑張って業務を減らして、教員を早く帰して、人件費を削る努力をするはずです。
簡単ですが、給特法がどのように今の教育現場に悪影響を及ぼしているか理解して頂けたかと思います!
1番危険なのは知らないこと
最後に、給特法に関してぼくが危ないなあと思うことがあります。
本書にもありましたが、この法律については現職の教員であってもその内容をほとんど知らないどころか、法律の存在を知らない人も多いようです。
無知が1番危険であると、それは言ってもいいのではないかと思います。
知ってるか知ってないかは大違いです。知ってたら、戦うことができます。
戦ってすぐどうとかなる問題ではないのも承知ですが、現状に疑いの目を持ち続けることは、大切じゃないかな〜とぼくは思うのです。
特に、これから教員なられるであろう人には知っておいて頂きたいのです。
思考が凝り固まる前に。現場の固定観念にはまらないために。
教育大学では、こんな法律教えてくれませんしね。
教えてくれないなら、ぼくらで勉強していきましょ!!
給特法に関しては、他にも色々話したいことがあるのですが、それだけでも記事1本書けそうなので、未来の記事に譲ります。
今回もここまで長いこと読んで頂きありがとうございます😊
これから、ちょっとずつ、ちょっとずつ、書きたいことも混ぜて。